【スポーツ】43歳・上野由岐子が明かす今季への思い 去就は「自分の感情がこの後どう動くかに委ねている」
ソフトボール女子で2008年北京五輪、21年東京五輪金メダルの上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)は、43歳になっても最前線で戦い続けている。昨季はケガの影響で結果を出せなかったが、復活した今季はチーム最多の10勝を挙げる活躍。大黒柱として走り抜いた今季への思いとは。
世界の頂点へ2度も導いた大投手は、43歳になってもチームの大黒柱として引っ張り続けている。上野は、16日から行われたニトリJDリーグ・プレーオフで2連投。準決勝で130球を投げた翌日に、94球を投じる熱投を見せた。
優勝には結び付かなかったが、レギュラーシーズンではチーム最多の10勝。今季を「正直こんなに投げられると思わなかった。個人的にシーズンを通して良く投げられた」と振り返った。
24年シーズンは7試合に登板して2勝0敗。膝のケガの影響で思うようにマウンドに上がれず「1年間投げたくても投げられなかった。チームには迷惑をかけた」と悔やむ。
ただ、その経験があったからこそ体のケアに時間を費やすことができた。大ベテランの領域に入ってからの暗く長いトンネルは苦しいものだったが、トレーニングやリハビリが実り、今季は19試合に登板し10勝3敗、防御率1・42と復調。「シーズンに入る前から体のコンディショニングがここ最近にないくらい良かった。(やってきたことは)間違いじゃなかった」と新たな手応えを得た。
16日の準決勝・戸田中央戦では、東京五輪日本代表としてともに戦った後藤希友と投げ合った。互いに3者連続三振でスタートする圧巻の立ち上がりに「クソ~と思って」と闘争心を燃やした。18歳も年下の後輩との熱戦。試合後には「私が負けたら“新旧交代”みたいな感じですよね(笑)」と冗談を飛ばした。
「将来的には彼女が日本を背負っていく」とソフトボール界の将来も真剣に見据える。「背負っていくというよりも伝えていく立場も考えている。そういった意味では競走馬になって、成長してほしい」と願った。
自身については「伸びしろはないと思っている。老化しないように頑張りたい」と笑う。ケガからの復活がかなった今季。来季の活躍に期待がかかるが「選手としてこれからも…。『これからも』は撤回しまして、チームとしてこの試合の反省をつなげていけたら」と含みを持たせた。
去就については「自分の感情がこの後どう動くかに委ねている」と言う。「ただ、ソフトボールが好きな気持ちは変わらないし、期待に応えられる選手でいたい思いはある。自分の心と相談したい」。絶対的エースは日本のソフトボールを支え続ける。(デイリースポーツ五輪担当・南 香穂)
◆上野由岐子(うえの・ゆきこ)1982年7月22日、福岡市出身。小学3年からソフトボールを始め、柏原中時代に日本一を経験。九州女子高(現福岡大若葉高)ではジュニア選手権で世界一になった。01年にルネサス高崎(現ビックカメラ高崎)に入団した。08年北京五輪、21年東京五輪金メダル。174センチ。





