【野球】ヤクルト・中村 侍強化試合で募った危機感「予選通過できるのかな…」

 ヤクルトの中村悠平捕手(35)が15、16日に行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本-韓国」に出場した。来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の前哨戦。チーム最年長で選出され、前回大会の優勝捕手は2試合を終え、危機感を募らせた。実は強化試合では毎試合後、捕手4人で韓国打線の傾向と対策を話し合っていた。異例とも言える捕手ミーティングが意味するものとは-。

  ◇  ◇

 時計の針は午後11時30分を回っていた。長い試合が終わり、帰路に就く中村悠が足を止めて静かに言葉を紡いだ。「日本を倒そうと、どの国もやってくるわけなので。そう簡単じゃないと思うし、予選通過もできるのかなと僕は思っているくらいなので…」。募らせたのは危機感だった。

 23年のWBCでは一戦も落とすことなく頂点まで駆け上がった。決勝戦では大谷とバッテリーを組み、マウンド上で抱き合った世界一の捕手だ。だが、素晴らしい景色を知るのと同時に覚えているのは、国際大会の怖さでもある。「本当に何が起こるかわからない。今日(16日)みたいにダブルスチール、九回2死からホームランが出たりする」と表情は厳しく変化した。

 経験が大きく働くのも国際大会ならではだろう。来春のWBCで1次リーグC組に所属する日本は初戦に台湾、2戦目に韓国と激突する。台湾は昨年のプレミア12で井端ジャパンが唯一黒星を喫した因縁の相手でもあり、中村悠はこの2戦をヤマ場の一つに挙げた。

 「初戦の台湾、2戦目の韓国。ここを落とすと厳しくなる。やっぱり力のあるチームで、しかも国際大会の入りは難しい空気感もあるので」

 メンバーが選出され、限られた時間で対策を練っていかなければいけない難しさも伴う。だからこそ、村田善則バッテリーコーチも動いた。強化試合を迎えるに当たり、選ばれた4人の捕手へ「みんな疲れていて、遅くなるのも分かっているけど、15分、20分、時間くれない?」と声をかける。試合後、球場で捕手ミーティングが始まった。

 まずはマスクをかぶった捕手からの視点、ベンチから見た捕手からの視点を擦り合わせていく。またピッチコムやピッチクロックなど、慣れないルールへの対応も急務で課題も出し合った。村田コーチは「自分たちのポジションを捕手みんなで守る気持ちでやっているので。これが春からだったらきつかったと思うんですけど、これで少し進んだところからスタートできる」とうなずいた。

 阪神・坂本も、中村悠に対して「23年はどうでした?」「縦変化は有効的に使った方がいいですか?」と質問。一人の持つ経験を全員で共有してこそ見える、連覇への道がある。ここから捕手はさらに3人に絞られる見込みで、「うまくいかないことの方が多い国際大会。でも23年の経験は本当にかけがえのない財産になっているので、もう一度選ばれたいですね」とは中村悠。一致団結した捕手陣の“長”となれるよう、連覇を見据えたオフを過ごしていく。(デイリースポーツ・松井 美里)

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