【スポーツ】木村庄三郎と西岩親方 幕内格行司ののぼりに込められた弟子の絆とは

 安青錦の初優勝、大関昇進で幕を閉じた大相撲九州場所。会場である福岡国際センターに今年、幕内格の行司、木村庄三郎(49)=田子ノ浦=ののぼりが風になびいた。そこには西岩親方(49)=元関脇若の里=との、部屋が別れても続く絆があった。

 本場所を彩る、力士や部屋の名前が相撲字で描かれたのぼり。九州場所では「祝 幕内格昇進 木村庄三郎さんへ 西岩部屋 西岩忍より」と記された1本があった。

 行司の木村庄三郎が十両格から幕内格に昇進したのは昨年12月。木村隆男から改名した。今年初場所から幕内格として裁いており、「祝 昇進」の文言にはやや違和感がある。

 西岩親方は「初場所前に完成したが、のぼりを立てるのが難しく、九州場所でようやくできました。昇進した同じ年なので良しとしましょう」と柔和な表情で説明した。東京場所の両国国技館、春場所のエディオンアリーナ大阪、名古屋場所のIGアリーナはのぼりを立てるスペースに限りがあるため、最も広い九州場所でお披露目された。

 西岩親方は1992年に千葉・松戸市にあった鳴戸部屋へ、庄三郎から1年遅れて入門。同部屋消滅から移った田子ノ浦部屋では2015年名古屋場所後に引退した。18年2月に独立し、台東区に西岩部屋を構えた。

 同親方は「寝食をともにした絆は今も続いている。十両格に上がった時は明け荷(荷物入れ)を贈りました。三役格、立行司に上がったらまたお祝いしたい」と語った。

 15年名古屋場所千秋楽、若の里の現役最後の取組(十両、対天鎧鵬)を裁いたのが庄三郎。初めて番付にしこ名が載った92年夏場所で、序ノ口優勝を決めた取組もそうだった。新弟子検査の引率も務め、西岩親方、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)、高安も担当した。

 庄三郎は「のぼりは初めて。照れくさいですね。部屋は違っても先代の弟子として、一緒にやってきましたから。ありがたいです」と、11年に59歳で死去した元横綱隆の里、元鳴戸親方の高谷俊英さんに思いをはせた。

 厳しい指導で知られた高谷さん。それでも庄三郎は「たくさんのことを教えられて、今の自分がある。面倒見のいい方でした。西岩親方、二所ノ関親方、高安も胸の内に先代への思いはあると思います」と感謝。「僕は行司の仕事をきっちり務めていきたい」と語った。のぼりは西岩親方からプレゼントされる予定。明け荷に続きまた一つ、弟弟子からの宝物が増えた。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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