【野球】DeNA・村田2軍監督が語る指揮官としてあるべき姿とは 選手目線、分かりやすい言葉で
DeNAは今秋から相川亮二監督(49)の下、新体制が発足した。同監督とタッグを組むのは、村田修一2軍監督(44)だ。昨年オフ、14年ぶりに古巣に復帰。かつてのベイスターズを知り、巨人、独立リーグ・栃木の3球団を渡り歩いてきた「男・村田」が、ファームを束ねる指揮官として、あるべき姿を語った。
「じゃ、また嘉手納(来春の2軍キャンプ地)で」
「違いますよ!」
秋季練習の最終日。村田2軍監督と度会の和やかな笑い声が響いていた。
現役時代は「男・村田」の愛称で親しまれ、一見“コワモテ”の風貌だが「こんな見た目なので、眉間にシワを寄せないように指導していきたいと思っています。監督が怖いようじゃダメ。時代もそうですし、選手たちと一緒に僕も学んでいきたいと思っているので。『修さん、これどう思いますか』って気軽にコミュニケーションを取れるような関係性を作っていきたい」と語る。
現役時代、巨人を退団後にプレーした独立リーグ・栃木での経験が、指導者としての原点だという。恵まれているとは言いがたい環境の中、NPB入りを目指し、泥くさく野球に取り組む同僚たちの姿を目の当たりにした。
スター選手だった自身に、仲間は貪欲に教えを請いにきた。「あの時の経験がコーチ業に生きている。中には難しい言葉で伝わらない選手もいますし、選手に目線を合わせて、簡単な言葉で分かるように話して伝えることはすごく大事」。対話を重視する村田流の指導は、ここで培われた。
今季、久々にブルーのユニホームに袖を通した。自身の在籍時は“暗黒”と呼ばれた時代だった。「当時は、説明するんじゃなく『とりあえずやれっ』て言われた練習がいっぱいあった。『数やれば何か感じるだろう』みたいな」と正直に振り返る。
その体験も踏まえ、「だから、僕らも意図をしっかり説明できるように準備してやらないといけないし、選手にこういう野球をやりたいということをしっかり伝える。『何でこうなんですか』と聞かれたら、『こういう理由があるよ、どう思う?』という問いかけができるようにしていきたい」と力説する。
時を経て、チームはAクラス入りの常連となり、全員が優勝を目指す機運が醸成された。「また前の時代に戻らないように、強くなったベイスターズをさらにもうひとつ強くするために、何をするかしっかり考えて接していきたい」。低迷期を知るからこそ、進化し続ける古巣への尽力へ、思いは人一倍だ。
そして、こうも続けた。どんな名指導者であっても、選手一人一人の現役生活の全期間に寄り添うことはできない。「確実に、僕たちは彼らより先に辞める。だから、誰が(首脳陣に)来ても『僕の野球はこういうスタイルです』というものを確立していないと軸がブレてしまう。1年でも長く、1試合でも多く。選手の長所を伸ばしていくために向き合っていきたい」。球団が目指す常勝軍団の形成へ、「男・村田」は覚悟を持って臨む。(デイリースポーツ・福岡香奈)
◆村田 修一(むらた・しゅういち)1980年12月28日生まれ、44歳。福岡県出身。現役時代は177センチ、92キロ。右投げ右打ち。東福岡3年時に甲子園へ春夏連続出場。日大を経て、02年度ドラフト自由枠で横浜(現DeNA)に入団した。右の長距離砲として頭角を現し、03年25本塁打は新人本塁打数セ3位。12年には巨人へFA移籍し、17年退団。NPB通算1953試合、1865安打、360本塁打、1123打点、打率・269。18年にはBCリーグ栃木でもプレー。その後は巨人やロッテでもコーチを務めた。




