【野球】楽天4年連続4位、現状打破に挑んだ秋 投手野手分離練習に込めた意図 塩川ヘッドが語る
楽天は今季、またしてもAクラスに一歩届かず、4年連続の4位に終わった。11月14日まで行われた秋季練習の最終クール4日間は、本拠地・楽天モバイルパークと2軍の森林どりスタジアム泉に、投手と野手が分かれて行われた。その意味とは-。2年ぶりに設置された塩川達也ヘッドコーチ(42)が練習の意図を解説しながら、自身の存在意義について語った。
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秋の日差しに照らされた秋季練習、最後の4日間。杜(もり)の都にある楽天モバイルパークでは元気な声が飛び交った。野手だけで行われた鍛錬の時間は午前と午後の2部制で、それぞれ打撃、守備走塁に個別練習と明確な目的を持つ内容で構成された。投手と完全に場所を隔てて行われた練習にあった意図とは-。塩川ヘッドコーチが2点に分けて説明した。
【①1、2軍コーチによる合同練習】
チームとして、ぶれない軸をつくる狙いがある。シーズンが始まると1、2軍を行き来する選手が出てくるだけに「やる野球は1軍も2軍も一緒。選手との会話もそうだけど、コーチ陣同士がコミュニケーションを取るという目的が一つある」と話した。
練習方法を一つとっても1軍と2軍で進む方向性が違えば、選手も迷いかねない。どうしても会話の手段が電話になってしまいがちなシーズンを前に、基礎固めの秋の段階から、顔をつき合わせて指導方針を固められる環境をつくった。
【②練習の効率化】
時間と場所を最大限に使えるという利点にも目を向けた。「野手と投手が混合になると使える場所も限られる」とし、「バッターだけだったら室内練習場とグラウンドに分かれて一斉に打撃練習もスタートできる」とうなずく。メリハリをつけた練習の中、少数にすることで量を確保。「時間の効率性は間違いなくいい」と有効活用した。
基礎、基盤を作り上げる秋だからこそできる分業制。直前には台湾の桃園市で交流戦もあっただけに、秋季練習最後の4日間は思い切った練習法にかじを切った。
テーマは全てにおいてのレベルアップだった。4年連続4位という事実から目を背けるわけではないが、塩川ヘッドは「良く言えば、3位争いはできている。でも目指しているのはそこじゃない」とキッパリと言う。
チームでは来季から2年ぶりにヘッドコーチが復活し、自身は同職で三木監督を支える。目指すべき像は頭にある。
「ジョーカーだね。自分もだけど、チームカラーもジョーカーでありたいと思っています」
何にでもなれるジョーカー。「出すぎてもあかんし、引っ込みすぎてもダメ」と言い、「なるべく監督に言わさないように。監督は決断しないといけないことが多い。僕が細かいことは言いたい」と意気込む。秋季練習でもシートノック後には、「元気を出すのと、ふざけるのは違う」と叱咤(しった)。「守備はピリッとした緊張感で、目の色が変わるようにならないと」と話した。
現状打破へ。選手だけではなく、首脳陣も全員が同じ方向を向くワンチームでの戦いはすでに始まっている。(デイリースポーツ・松井 美里)





