【野球】ヤクルト・青柳晃洋が燕軍団にもたらしたもの 成績不本意も経験で恩恵

 昨オフ、阪神からポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を目指したが、夢を断念して今季途中にヤクルトへ移籍した青柳晃洋投手(31)。電撃復帰したNPBでは3試合の先発で白星を挙げることはできなかったが、元虎のエースが新天地にもたらしたものとは-。

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 異例の電撃的なNPB復帰となった。ヤクルトが、日本の補強期限ギリギリの7月31日に正式発表したのは青柳の獲得だった。米大リーグ、フィリーズ傘下2Aレディングから自由契約になった右腕に手を差し伸べた。その後、青柳が2軍で調整を行う中、弟子入りを志願してきた男がいた。

 育成ドラフト3位でオイシックスから入団し、支配下に昇格していた新人右腕の下川だった。8月中旬。2軍の戸田球場で「キャッチボールしてください」と志願。初めてボールを直接受け、一球一球に驚いた下川は「すごかったです」と大感激していた。

 サブマリンの下川にとって、サイドスローの青柳は「大投手です。おこがましいかもしれないですけど、タイプ的には目指すべき場所」。映像を見て研究した憧れの存在。変則投手の先輩から、自身の課題だったクイック投球での体の使い方を学んだ。「青柳さんがルーキーの時も自分と似たような課題を持っていた、という話をしていただきました」。経験則からの助言は、目からウロコだった。

 下川は師匠の金言を生かし成長を遂げた。8月31日・広島戦(神宮)で先発し5回を3失点でプロ初勝利を挙げた。9試合の登板で2勝1敗、防御率2・73をマークして台頭。来季もローテ候補として期待されている。

 1軍でも青柳のキャッチボール相手を務めた。「キャッチボールをさせていただく中で練習の仕方とか聞けました。自分の中で成長できました」と感謝した。プロ入り後は同じ動作や同じ距離でのキャッチボールを繰り返してきた。「自分は同じように投げたがるんですけど、日によって状態は変わるので意識や、やることを変える。山なりで投げたり遠投してみたり」。例えば投球で足を置くプレートの位置を変えてみる。自身の状態によって臨機応変に調整法を変えることの大切さも吸収した。

 今季途中にヤクルトに移籍した青柳は3試合の先発で0勝2敗、防御率8・10と不本意な結果に終わった。それでも経験を生かし、自分の持っている“引き出し”を出し惜しみせず後輩に伝えた。来季はローテの一角として期待を寄せられる通算61勝の元阪神のエース。移籍1年目は、お手本となってツバメ軍団に恩恵をもたらした。(デイリースポーツ・伊藤 玄門)

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