監督自ら手荒い祝福!ロッテ・吉井理人監督は“型破り”
まるで青春ドラマの熱血教師のようだった。サヨナラ二塁打を放った安田尚憲内野手に、“手荒い祝福”をしたロッテ・吉井理人監督(58)だ。
16日のCSパ・ファーストS・第3戦のロッテ対ソフトバンクの延長10回2死一塁、ライトへサヨナラ二塁打を放った安田が、喜びを爆発させながらベンチから飛び出すナインに向かってゆく。一塁カメラ席から撮影していた私は、手荒い祝福を受ける安田を見逃すまいと、ファインダー越しに必死に追いかけた。
ペットボトルを手にウオーターシャワーで祝福するナイン。その歓喜の輪に飛び込んでいったのは指揮官だった。安田の背中のユニホームをつかんで引っ張り捕まえると、背後から抱きつき、右手で頭をわしづかみして、手荒い祝福をした。
これまで数え切れないほどサヨナラのシーンを撮影したが、自ら歓喜の輪に飛び込み、祝福をした監督を見た覚えがない。それほど奇跡的なサヨナラ劇だったということが言えるのだが、同監督の“人間性”を象徴するようなシーンのような気もした。
生徒と正面から向き合い、時には体を張って型破りな行動に出る。青春ドラマの熱血教師の姿がかぶる。
第1戦の六回無死一、二塁の場面で5番の安田にバントのサインを出し、スタンドがざわめいた。不慣れなバントを決められず2ストライクに追い込まれた。サインをヒッティングに切りかえると、中越え適時二塁打に。二塁ベース上で仏頂面の安田に向かって、両手を合わせ謝罪する監督の姿がバックスクリーンに映し出されスタンドが沸いた。勝負に徹するためには非情にならざるをえないのが監督業だが、試合中に、ファンの見ている前で選手に謝罪する監督は珍しい。
基本的にはデータや科学的な根拠を重視する同監督だが、青春ドラマの熱血教師のように、選手目線を忘れず、コミュニケーションを大切にするがゆえに、“型破り”になるのだろう。だからこそ、ドラマのような“奇跡の大逆転”が起きたのかもしれない。(デイリースポーツ・開出牧)




