グッときた!ロッテ・佐々木朗希が吉井理人監督と握手を交わした時の表情が物語るチーム愛
フォア・ザ・チームを感じる魂の投球。自己最多タイの9勝目を挙げたロッテ・佐々木朗希投手(22)だ。
22日の対西武戦(ZOZOマリンスタジアム)に先発し、7回2失点の好投を見せ降板。ベンチで目を細めながら歩み寄る吉井監督と握手を交わした。写真はその時のシーンをカメラ席から撮影したものだが、シャッターを切りながら、グッとくるものがあった。
残り試合も10試合を切り、4位の楽天とのゲーム差は1・5差。3位とはいえ、楽天の方が残り試合が4試合多いことを考えると、もう、負けられない。熾烈(しれつ)なCS争いのマウンドで、どんなピッチングをするのか。注目していた。
初回に先制タイムリーを打たれ、パスボールで2点を失う、波乱の立ち上がり。前回15日の西武戦(ベルーナドーム)では6回4失点。プロ入り初の危険球退場で、負け投手となった。この日も暗雲が垂れ込めたが、その裏にすぐさま味方打線が同点に追いついた。
続く二回には仲良しのチームメート・茶谷の右前打をきっかけに、藤岡の中犠飛、ポランコの二塁打で勝ち越し。三回にはベテラン荻野がユニホームが裂ける、気迫のヘッドスライディングで二塁打を見せた。四回まで毎回得点の援護に、気迫と執念を感じたにちがいない。
二回以降はスライダーを多投する配球に変え、七回まで0を並べる快投。ストレートとフォークでねじ伏せる本来のスタイルから、西武の各打者の裏をかくピッチングに切り替えた。思い描く理想の投球を封印し、チームの勝利のために腕を振った。
ネット裏にはこの日も多くのメジャーのスカウトが視察に訪れていた。将来のメジャー移籍を夢見ている令和の怪物は、セールスポイントとなる160キロ超えのストレートとフォークでねじ伏せるピッチングを見せ、揺るがぬ評価を得たいころだが、土壇場でチームの勝利を最優先した。降板後にベンチで吉井理人監督に見せた表情が、チーム愛を物語っていた。
メジャーのスカウトたちも、CS争いのマウンドでどんなピッチングをするのかを注目していただろう。本調子ではない時でも、勝つための投球ができるという、貴重なデータをまぶたに焼き付けたにちがいない。(デイリースポーツ・開出牧)