東洋大・馬庭優太投手の投球技術と“強心臓”は本物だ!

 甲子園のマウンドと変わらなかった。東洋大・馬庭優太投手(1年)だ。

 14日の東都大学野球秋季リーグの青学大戦(神宮球場)。七回無死、2ランを打たれた先発の大坪(3年)に代わってマウンドに上がった。3点差に詰め寄る青学大の、反撃ののろしが立ちこめる神宮の杜。野球の聖地の、張り詰めた空気が1年生投手を包み込む。

 デビュー登板となった4月22日の対青学大では七回1死二塁から3番手として登板し5回2安打2失点(自責点0)の好投を見せたが、この日はいきなり8番の南野に左前打、9番の大神にファーストへの内野安打を打たれ、ピンチを迎えた。

 ネット裏でレンズを構える私のまぶたに浮かんでいたのは、2024年の夏の甲子園。93年ぶりのベスト8に輝き、“ミラクル”と呼ばれた快進撃の立役者となった大社のエース・馬庭の勇姿だ。大舞台の、しびれるような展開のマウンドでも、自分のリズムで投げ抜いた。仁王立ちで打者と対峙(たいじ)してからプレートに足をかけ、左腕を脱力しながら前傾姿勢で捕手のサインを確認する。セットポジションに入ると、ゆっくりと右足を挙げて、二段モーションでためを作り、頭よりも高く挙げた右手のグラブで狙いを定め、ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分ける。打者を打ち取ると、感情を爆発させ、のけぞって雄たけびを上げた。

 1年前の夏と同じルーティン、同じリズムだ。開幕戦の先頭打者アーチを放った1番の藤原(4年)を捕ゴロ、2027年ドラフト候補、2番の山口(2年)を左邪飛に打ち取ると、侍ジャパン大学日本代表で今秋のドラフトで上位指名候補に挙がる、3番の小田(4年)を二直に抑えた。私はマウンドの14番にレンズを向けたまま、魂の雄たけびを激写した。

 八回は同リーグでMVPを獲得している渡部(3年)を三邪飛に打ち取り、勝負を避けるように2四球で再びピンチを招いたが、前の打席で左前打を打たれた8番・南野(3年)を右飛に打ち取った。

 雄たけびを上げながらベンチに戻りナインを鼓舞する姿も、変わってない。違っていたのは背番号14のユニホームと、一回り大きくなった下半身と伸びた頭髪ぐらいか。

 東都大学野球1部リーグの救援マウンドで2回2安打無失点の好投。どんな相手でも、どんなマウンドでも、自分のリズムで投げられる技術と“強心臓”は“本物”だと、改めて感じた。降板後もベンチで声を出し、ナインを鼓舞し続ける姿にも、変わらぬひたむきさを感じた。(デイリースポーツ・開出牧)

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