ある医師が経験した不思議な話 解決できない問題の“教訓”かも
「町医者の独り言=33=」
8月も下旬にかかってきました。この時期、テレビや巷(ちまた)では、怪談・不思議な話が取り上げられていることがあり、怖がりの私は、それらを見られずにチャンネルをすぐに変えてしまいます。病院で勤務しているときは、霊気のようなものを感じたり、嫌な感じになることはよくありましたが、そのように曖昧な感覚ではなく、恐ろしい経験をしたことがあります。
家族で夜に食事をした後、近道をしようとある神社の敷地内に入りました。通常であれば、1分もあれば横切れるのですが、5分くらい歩いても敷地から出ることができないのです。途中で“異変”に気づいたのですが、後戻りするのも怖くてもう少し歩きました。けれど、出口は見つかりません。これ以上は危険だということで、一か八かで後戻りをすることにしました。すると、20秒ほどで神社の外に出られたのです。あれ以来、神社、仏閣には暗くなってから近づくことはできません。ほかにも例はありますし、世の中には人智を超えた不可思議なことがたくさんあります。医学の世界でも然りです。
脳卒中後の片麻痺(まひ)や、脊髄損傷などした場合、現代医学で治癒させることは不可能とされています。麻痺した部分の回復はできない。我々医師はそう判断し、残存した部分を強化するリハビリを行う。これが基本的な考え方です。その一方で、このことが当てはまらず、奇跡的回復をされている人もおられるんです。
私が知っている実例です。数年前に頚椎(けいつい)に黄色ブドウ球菌が繁殖した人がいて、手足が動かなくなる一歩手前の状態で救急車を呼び、一命を取り留めました。しかし、術後に告知された言葉は残酷です。一生寝たきり、よくて車椅子でしょう…。損傷部位から下の部分が完全に麻痺し、手足を動かすことも、排泄(はいせつ)も自分の意思で行うことはできませんでした。
我々、医療サイドの人間は淡々と患者さんに説明をします。少しでも早く現実を受け入れて、これからの人生を前向きに生きて頂きたいと。ただ、首から上しか動かない状態で生きていくことは、健常人からは想像もつかない辛さがあるでしょう。それも、昨日まで普通に生活をすることができた人が…。
ところが、数年たった現在、その方は自力で歩行をして、健常であったときよりも素晴らしい能力を発揮されています。私の人生の師匠である人が、そのように導いたのです。その人は医師ではありません。にわかに信じがたいですが、映像もすべて残っています。これは実際にあった話なのです。
現代科学は急速に進歩発展していますが、世の中のほとんどは未知の世界だとも言われています。医学界においても同様だと思います。人の遺伝子がすべて解明され、人類が火星に降り立つまでになったとしても、まだ解決できない問題が山積みです。不思議な話といのうは、ある意味、それらの教訓なのかもしれません。私たちは事実を謙虚に受け止め、日々勉強していかねばならないのだと思います。
これらの事実は、季刊「道」183号に詳細が記されています。ご興味がありましたら一読して頂き、今後に役立ててもらえればと思います。
◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。
関連ニュース
編集者のオススメ記事
医療コラム最新ニュース
もっとみる新型コロナを数字から見ると…我々の周囲にある病気の怖さに気付く
薬物依存症では取り巻く人の教育も大切 ある良書から得た学び
天龍源一郎の小脳梗塞…滑舌&しゃがれ声には関係なし?医師が説明
医学で説明できない不思議な治癒の例がある…解明できれば患者さんの“希望”に
痛風になりやすい夏 プリン体が含まれていない蒸留酒ならOK? 医師が説明
寝苦しい夜が増えてきて…「寝溜め」に効果はあるのか?医師が説明
10連休も病院で仕事 改元、インフルエンザ、凄惨な事件…ある町医者が思ったこと
萩原健一さん死去…10万人に1人か2人の「GIST」とは 医師が解説
ロッテ永野投手の「広場恐怖症」治療に認知行動療法、暴露療法など…医師が説明
堀ちえみさん舌がん公表 見分けにくい初期症状…口内炎、歯周病などと類似
阪神・原口選手が大腸がん 20代の罹患は珍しいが怖がらず内視鏡検査を
インフルエンザの新薬ゾフルーザ “現場”ではどうなのか…
闘病中のNosuke 精巣がんによる胚細胞腫瘍とは
若いタレントに相次ぐパニック障害…医師が語る“理解されない”心の病
ドラマ「大恋愛」は貴重なドラマ 若年性認知症の問題点とは