闘病中のNosuke 精巣がんによる胚細胞腫瘍とは
「町医者の独り言=41=」
歌手・misonoさんの夫で「HighsidE」のドラマーであるNosukeさんが、精巣がんによる胚細胞腫瘍で左睾丸(こうがん)の摘出手術したことを公表されました。精巣腫瘍(がん)とは、一般的に精巣に発生する腫瘍の総称です。良性の腫瘍や悪性リンパ腫などもありますが、90~95%が悪性である精巣胚細胞腫瘍であるとされています。ですので通常、精巣腫瘍とは精巣胚細胞腫瘍のことを指します。組織学的には、セミノーマ(精巣上皮腫)と非セミノーマに分類されます。
男性全体では、10万人に1人から2人の頻度で発生するとされ、20代から30代に限定すると10万人に5人程度発生すると言われています。若年男性に多いのが特徴です。多くの場合、初発症状として陰のう内の無痛性腫瘤や硬結で気づくことが多いです。
ただ、腫瘍の進行度が比較的早いために、お腹の中に転移したリンパ節が大きくなり、腹痛、腰背部痛などや、肺に転移した腫瘍の症状である咳嗽(がいそう)や血痰などの症状が認められることもあります。腫瘍の進行度にもよりますが、精巣腫瘍が疑われれば、まずは外科的摘出を行います。その上で、組織学的検索、転移の有無を調べて治療方針が決定されます。
早期であれば、精巣の摘出だけで終わるのですが、他に転移していれば、抗がん剤が投与されたり、転移したリンパ節の切除、放射線の照射などが行われます。血管の走行の関係で、リンパ節転移は骨盤などの下腹部のリンパ節に転移をするのではなく、上腹部である腎動脈周囲のリンパ節に転移します。更には、その上の肺にも転移しやすいのが、この腫瘍の特徴です。
また、腫瘍の進行は比較的早いのですが、転移があったとしても抗がん剤がよく効くためにかなり進行していても、70~80%の割合で治癒が望めるということも、この腫瘍の特徴です。
同じ男性として、睾丸を摘出することで相当なショックを受けておられると想像しますが、一つを摘出しても片側の精巣が残っていますので、子供さんを作ることも可能です。ウェブなどで奥様であるmisonoさんのお話をうかがっていますと、この方も転移は来していると思われますが、追加治療である抗がん剤、放射線、手術などの治療を受けて治癒していただき、元気に退院され一日でも早く復帰されることを心からお祈り申し上げます。
◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。
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