歯科で撮るレントゲンと日本~ニューヨーク間の機内で浴びる放射線量、どちらが少ない?

 歯の治療してもらう際にレントゲン撮影をしすぎたらどうなるか。もしかしたら癌に?そんな不安にかられた経験はないでしょうか。吉本興業所属の歯科医芸人”パンヂー陳”こと陳明裕さんが答えてくれました。結論は?(聞き手・山本智行)

--先日、歯のクリーニングのため歯科に行ったら、レントゲンを撮られたんです。歯の掃除にレントゲンって必要ですか?歯医者さんが儲けたいだけで撮ってるんとちゃいますか?あんまりレントゲン撮り過ぎたら癌になったりしませんか?

陳明裕(以下陳):納得できなかったら、その先生にその場で聞いたらエエのに…。で、そのレントゲン撮る前に、歯茎に器具を入れらたりしませんでしたか?

--はい、何だかごちょごちょされてからレントゲン撮ってみましょうって。

陳:一般の方は誤解されてる場合が多いのですが、実は歯茎が健康な状態で、もし歯石を取るだけだったら健康保険は効かないので自費になるんです。まっ、山本さんの場合、幸か不幸か、歯周病だったので健康保険で歯石が取れますが。

--歯周病でいいときもあるんですね。

陳:全然、良くはないですけど、多分、その先生は、お口の状態を診て、歯肉ポケットの深さを測ったりした結果、レントゲンで歯を支える歯周組織の状態の確認が必要だと判断されたのでしょう。

--去年、その歯医者に行った時も撮られましたが、そんな頻繁に撮って癌になったりしませんか?

陳:放射線に限らず紫外線や発癌物質といわれるもなどの影響でDNAが損傷しても、普通は細胞により修復されます。まれに変異細胞として生き残って発癌するといわれていますが、環境省のホームページにも100ミリシーベルト未満では発癌リスクを検出することはほぼない、と書かれてます。

--そうなんですね。

陳:メーカーにもより多少の差はありますが、歯科のレントゲンは最近はデジタル化が進んで放射線量が軽減されているので、デンタルという1~2本の歯だけを取るレントゲンで0.01ミリシーベルト、パンノラマといって上下顎の歯全体を撮影するもので0.03ミリシーベルト程度です。うちの医院も一昨年、やっとCTを導入したんですが1回の撮影で0.074ミリシーベルトだそうですから、飛行機でニューヨークに行く時に浴びる放射線量より少ないくらいです。

--CTって、そんなに被ばく量が少ないんですか?

陳:医療用のCTは1回6.9ミリシーベルトくらいですが、歯科用のはコーンビームCTといって構造も撮影範囲も違いますので、被ばく量は少ないです。

--でも、私が行ってる歯医者さんは、お年寄りで、撮影の時に鉛のエプロンも付けてくれませんし、レントゲンも古いんですよ。

陳:確かに防護エプロンをかけると被ばく量は1/100くらいになりますが、飛行機に乗ったら機内食の時は紙エプロンをしますが、鉛のエプロンはかけないのと同じ理由で、最近は希望者や妊婦以外には、エプロンをかけない医院も多いです。たとえフィルム式のレントゲンでも放射線量はデジタルの2倍程度だと思いますので大丈夫です。

--ホンマに大丈夫ですか?放射線なんか浴びないに越したことはないでしょ。

陳:もちろんそうですが、普段の生活でも日本では、自然放射線として年間2.1ミリシーベルトくらい浴びてますが、世界平均が2.4ミリシーベルトだそうですから、歯科用CTを年間4枚撮ってもまだ世界平均より低いんです。自然放射線には地域差も有って、有名な所ではブラジルのガラパリが5.5ミリシーベルト、イランのラムサールにいたっては10.2ミリシーベルトとのことです。

--ところで自然放射線って何ですのん?

陳:♪果てしない大空と広い大地のその中で。宇宙から0.3、空気中のラドンなどから0.48、大地から0.33、食物から0.99で自然放射線は合計2.1ミリシーベルトです。

--いつの日か幸せを自分の腕でつかむその前に、いつの間にか放射線を自分の腕でつかんでたんですね。おっしゃりたいことは分かりましたんで、松山千春チックに言わんといて下さい。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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