この夏なぜか増えた睡眠時無呼吸症候群の相談

 最近なぜか睡眠時無呼吸症候群(SAS)の相談が増えています。夫婦で来院され、旦那さんのいびきがとてもうるさく、やっといびきが止んだかと思えば長時間息が止まっていてとても心配になる、と奥さんが話されるのがよくある診察室での会話です。

 SASとは、睡眠中に呼吸が止まることで発生する諸症状のことで、いびきや口呼吸、頭痛、日中の眠気や集中力の低下などです。息苦しくて睡眠中に目が覚めることもあります。また重度の場合には、酸素不足や日中のストレスにより高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などをひきおこすこともあります。

 原因として肥満やアルコール摂取、解剖学的構造(あごが小さい、扁桃腺が大きいなど)が指摘されています。これらにより気道が狭くなり、空気の流れが妨げられ息が止まります。診断は自宅での簡易的な無呼吸検査と、入院して脳波測定も同時に行う精密検査がありますが、まずは自宅での簡易検査がなされます。

 治療法は、CPAP(小さな人工呼吸器を用いた自宅での呼吸療法)やマウスピース装着、手術などです。ダイエットや禁酒で改善することもあります。重症SASはCPAPの適応で、これにより諸症状が劇的に改善します。血圧が正常化し降圧薬を止めれることもあります。早期診断にはエスワープ眠気尺度問診票という日中の眠気を評価する質問票が有効です。

 24点満点で11点以上の方はSASが強く疑われますので、専門医を受診し無呼吸検査を受けてみましょう。問診票はネットで検索するとすぐに確認できます。

 最近相談が増えているのは、暑くてビールなどのアルコールを飲み過ぎることにより無呼吸が悪化しているせいかもしれませんね。

 ◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。

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