大進化した変異株「BA.2.86」 現役医師が解説「慌てず騒がず、油断は禁物」

 XBB系統の変異株によって密やかに続いていた「第9波」ですが、そろそろピークアウトかと思っている矢先に、まったく新しい変異株「BA.2.86」が出現し、世界保健機関(WHO)や、アメリカ疾病対策センター(CDC)をはじめ、世界各国のウイルス研究者や専門家は大騒ぎしています。

 「BA.2.86」は、名前からもお分かりのように、オミクロン「BA.2」の亜種なのですが、驚くのはその遺伝子変異の多さです。従来の株に比べてものすごい数の変異があり、2022年に『第6波』をもたらしたオミクロン株出現の時に近いものがあるそうです。変異の数が多いほど、感染力、病原性など、ウイルスの性質は大きく変わっている可能性があります。「BA.2.86」の出現は、その変異の多さから、オミクロン株登場以来の「大進化」といえる部類とのことです。

 日本では新型コロナ感染症が5類になって以来、入ってくる情報が極端に少なくなっており、現時点ではよくわかっていないのですが、これまで確認された感染者を追跡すると、従来の変異株に比べて症状が重いといった報告はないそうです。ただその一方で、ウイルスにこれだけ多くの変異が入ると『免疫回避性』(免疫から逃れる性質)がさらに高まっている可能性がある点で、多くのウイルス学者が懸念しています。

 では我々はどうすればいいのか。この新しい変異種は、感染力は高まっているでしょうが、致死率はそれほど変わっていないようですから、これまでと同じ。慌てず騒がず、ことさらに恐れることはないけど、油断は禁物。学者さんは騒いでも、我々には今まで通りのことしかできません。自分の身は自分で守るだけのことです。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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