自己判断は危険!癌の発見には適切な検査が必要 現役医師が解説「症状が出ないのが癌の怖いところ」

 「先生、癌(がん)になったらどんな症状あんの?」とよく患者さんに聞かれます。しかし、早期癌や進行癌でも症状が出ないのが癌の怖いところです。

 進行癌の例をあげますと、食道癌では嚥下障害、食事中に少し染みる感じがあったり、体重減少などの症状があります。胃癌は、みぞおちの辺りの不快感、食後の腹部膨満感、げっぷ、体重減少などの症状があります。大腸癌は、血便、便が細くなった、腹部膨満感、オナラが増えたなどの症状があります。ただ、これらの症状がないから癌がないとは言えないのです。

 むしろ症状が出ることは、ほとんどないと言っても過言ではありません。他の癌なども同様。最近はネットで検索しますと食道癌の症状は「これだ」、胃癌の症状は「これだ」などと、出てきます。多くの場合は、進行癌に関しての症状で、早期癌、あるいは進行癌であっても比較的早期のものには、症状が当てはまらないことが多いという認識は持っていただきたいです。

 それに反して、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症、胆嚢炎、膵炎、潰瘍性大腸炎、虚血性腸炎、虫垂炎、痔などの良性疾患は、比較的しっかりとした症状が出ます。逆流性食道炎であれば胸やけ、胸部痛、胃潰瘍であれば食後の上腹部の痛み、十二指腸潰瘍であれば空腹時の上腹部の痛みなどです。

 良性の疾患であっても非典型的な症状もあります。たとえば虫垂炎です。最初は嘔吐、下痢、上腹部痛などの症状が出現し、最終的に虫垂が存在する右下腹部に痛みが移動してきます。最近、進行癌で見つかるケースが増えてきた印象があります。

 ネット情報による自己判断は思わぬ結果になってしまうこともありえます。癌の発見には適切な検査が必要だと、頭に入れておくべきだと思います。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。デイリースポーツHPで「町医者の独り言」を連載中。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ドクター備忘録最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス