親の意見とナスビの花は千にひとつの仇もなし 子を思うことわざを医師が読み解く

 「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざの解釈について以前、書かせていただきました。今回のテーマは「親の意見とナスビの花は、千にひとつの仇(あだ)もなし」ということわざです。今の若い方には知らないという方が多いのですが、私が子供の頃はよく親から言われたものです。

 土の上に成る野菜は体を冷やし、土中に成る野菜は体を温めますので「秋ナスは嫁に食わすな」の意味は、「ナスは体を冷やす、あるいは種が少ないので、子供ができないといけないから嫁には食べさせるなという、嫁を大切に思う、お姑さんの優しさ」と解釈したいと以前のコラムでは結論づけました。

 さて「親の意見と茄子の花は、千にひとつの仇もなし」とは、親が子どもにする意見はひとつとして無駄がなく、すべて役に立つことばかりだから、心して聞くべきだという意味です。「仇」は「徒」とも書き、「徒花(あだばな)」とは実を結ばない花という意味です。ナスの花が咲くと、必ずその花には実を結ぶとされています。今年の猛暑では例外もありましたが、千にひとつも無駄もなく、実をつけるのがナスの花です。

 人生の先輩として親が子供に伝えることは、言われる子供にとっては、どちらかといえば耳が痛く、私自身も怒られたり小言を言われた記憶の方が多く残っています。ですが実際に2人の子に恵まれ親になってみると、親が子供に伝えてきたことは全て子供のためを思ってのことだったと実感しました。

 「子を持って、初めてわかる親心」と言うことわざもありますが、これも同じような意味です。親というのは、我が子が可愛いあまり、耳の痛いことも言いたくなるのです。いちどこれを機会に、あらためて親御さんに感謝してみませんか。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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