花粉症の時期 長引く「せき」には要注意!ステロイドもケースバイで検討を 医師が語る
今、ひどい咳(せき)を訴え来院される方が増えています。そろそろ花粉症が出始める時期で、これに引き続いて咳が出てくる場合は喘息や咳喘息である可能性があります。
喘息と咳喘息の病態は同じで、ヒューヒュー、ゼイゼイ言わない軽症の喘息が咳喘息です。喘息とは花粉、風邪、黄砂、PM2.5、ハウスダスト、ダニ、タバコ、気温差、気圧差、運動などが原因となりアレルギー性の気管支炎を起こした状態をいいます。
咳の他には、痰、息苦しさや胸痛、喉のつまり感、痒み等の症状が出ます。
レントゲン、精密な肺活量検査、呼気の一酸化窒素濃度検査、血液検査などで診断を確定します。血縁の喘息患者の存在や、花粉症や慢性鼻炎、副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎の既往、合併があり、咳が2週間以上続いていれば検査をしなくとも喘息を強く疑います。喘息には咳止めや痰切りなどの薬ほとんど効かず、ステロイドと気管支拡張薬の合剤の吸入療法が有効です。
ステロイドと聞くと副作用を恐れ使用をためらう方がおられますが、口から吸い込んで気管支だけに作用するため内服や注射のステロイドほど副作用を気にする必要はありません。それよりもステロイドを使用しないことで気管支の炎症が強くなり、気管支が固くなって咳喘息が喘息に、喘息が重症喘息に進むことの方が心配です。
鼻水がのどに垂れ込む後鼻漏や逆流性食道炎、肥満、ストレス、新型コロナやインフルエンザウイルス感染の後遺症、他のウイルスや結核菌やマイコプラズマ等の細菌感染も長引く咳の原因となり、咳の診断は呼吸器専門医でも難渋することがあります。咳が2週間以上続く場合、できれば呼吸器内科を標榜しているクリニックの受診をお勧めします。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。