最近抜け毛が多くなり、なんとなく髪の分け目も疎になった気がします。昔から私は髪の毛が多く、白髪にもならないためノーケアーでしたが、ついにＡＧＡ（男性型脱毛症）を発症したかもしれません。

　ＡＧＡ（男性型脱毛症）は、主に遺伝や男性ホルモンの影響で進行する脱毛症で、日本では成人男性の３人に１人が発症するといわれています。原因は「ジヒドロテストステロン（ＤＨＴ）」というホルモンで、毛の成長を阻害し、徐々に細く短い毛ばかりになるのが特徴です。

　私のクリニックでも、友人に頼まれてＡＧＡ治療薬を処方したところ、明らかに髪が増えて驚きました。昔は「薄毛治療が開発されればノーベル賞もの」と言われていましたが、現実に効果を実感できる時代になったのです。友人も髪の毛が増えて大変喜んでおり、他の患者さんにも希望があれば処方を検討してもよいかもしれないと考えています。

　現在、ＡＧＡ治療には「フィナステリド」や「デュタステリド」といった内服薬があり、ＤＨＴの生成を抑えて脱毛を防ぎます。また、「ミノキシジル」という外用薬は、毛母細胞を活性化し発毛を促進します。内服薬と外用薬を併用することで、より高い効果が期待できます。

　ただし、数％程度と頻度は少ないですが、ＡＧＡ治療薬には副作用もあります。フィナステリドやデュタステリドでは性機能低下や肝機能障害、抑うつ作用、ミノキシジルでは頭皮のかゆみなどが報告されています。そのため、ネット通販や海外輸入などで薬を購入し、自己流で治療を始めるのは絶対に避けたほうがよいと思われます。

　ＡＧＡ治療も早期発見、早期治療が重要です。薄毛が気になる方は、ぜひ早めに専門医に相談しましょう。

　◆西岡清訓（にしおか・きよのり）兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。