認知症予防にミソ汁を アルツハイマー病は50代以降3段階で進行→年齢に適した具材を選んで

 私たちが普段から何気なく飲んでいるミソ汁ですが、数年前、ひとりの医師が書いた「ミソ汁健康法」に関する書籍が話題を呼びました。その一節「ミソの原料である大豆は、植物性タンパク質が豊富。ミソ汁はスープ自体が栄養満点で、どんな具材とも相性がよく、一品で栄養バランスが取れる『完全食』といえます」さらに年齢によって具材を変えると、健康長寿の強い味方になるとのことで、今回はその内容をご紹介します。

 健康長寿をおびやかす最大の脅威、認知症の約7割を占めるアルツハイマー病は50代・60代・70代の3段階で進行します。その進行に合わせて年代別に適したミソ汁の具材を選ぶことで、効果的に予防できるそうです。

 まず50代。ポイントは、内臓脂肪を減らしてメタボを解消すること。メタボと認知症は無関係にみえますが、内臓脂肪はアルツハイマー病の原因物質と言われている「アミロイドβ」を急増させます。アミロイドβは、50代後半から徐々に増えていくので、その緩和にはメタボ解消が一番。そこで役に立つのが、サバ缶とワカメ。サバに含まれるEPAは、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を抑制して内臓脂肪の蓄積をブロックし、ワカメの食物繊維が胃腸の脂肪を洗い流してくれるので、二重の効果があります。

 60代は、カボチャや納豆です。「60代になると、加齢に伴い脳の神経細胞が弱って、アミロイドβへの抵抗力が落ちます。脳がストレスを受けると活性酸素が増える。その活性酸素がアミロイドβの攻撃を助けて、脳にダメージが蓄積されます。それを防ぐには活性酸素を減らすビタミンEを含んだカボチャが効果的。また、ミソや納豆のような発酵食品は、活性酸素などの毒を体外に汲み出す作用があります。

 70代は心身が虚弱になる”フレイル”が起きやすい年代。筋肉や臓器はもちろん、脳の神経ホルモンも減ってしまうので、全身を元気にするものを食べましょう。「筋肉や臓器、ホルモンの原料はタンパク質なので、ミソ汁で補充します。具材は「美味しそう!」と食欲をかきたてるもの。たとえばカニや牡蠣、牛肉など豪華なものをたっぷり入れ、食べると元気になる、と思えるミソ汁を」。まだまだ寒い日が続きます。ミソ汁を飲んで英気を養いましょう。

 参考:『健康長寿をのばす! みそ汁&食事術』渡辺正樹著(主婦の友社)

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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