ギックリ腰になったらどうする?医師が解説、歩いても立っても座ってもダメ→予防法は毎日腕立て20回

 急性腰痛症は、腰痛が発症してから1か月以内のものを指します。一般に「ギックリ腰」と呼ばれている状態がまさにコレです。私はいつも患者さんに、累積100時間、寝ていれば治ります。歩いても立っても座ってもダメ。とにかく重力に逆らわないこと。仰向けでも、横向きでも、うつ伏せでもいいから横になる。トイレ以外ずっと寝てたら4日で治るし、1日5時間しか横になれないなら1ヶ月かかる。と言っています。

 人の身体は全てそうですが、腰というのはまさに機械式腕時計のように精密で、「こんにちは」と礼をするだけでも、5つの腰椎とその周囲を取り巻く何十もの筋肉や腱や靭帯が、ぴったりシンクロして動かないと、うまくできません。どこか一本の腱や靭帯が、伸びた・ひねった・ねじれた・痺れた・神経を圧迫した、それだけで正常に動かず、それどころか痛みまで引き起こす、これがギックリ腰です。歯車の歯が一つ欠けただけでも時計は動きません。あれと同じです。ただ時計と違って、人間は歯車を取り替えなくても自然に治癒します。

 急に重いものを持ち上げた瞬間にギクッときた、とよく言われますが、階段を降りながらクシャミした時とか、重いと思って荷物を持ち上げたら実は軽かったとか。私など、立ってグラスに麦茶を注いでいる最中にクシャミして、その時お尻にピリッと痺れを感じて、4時間後には立てませんでした。

 ギックリ腰はピリッときてから4~5時間がピークです。あと、まだ幼稚園だった娘をプールから引き上げた時、それまで浮力で軽かった娘が、ちょっとだけ重くなったんですね。腰がピリッ。慌てて家に戻ろうと車を運転しましたが、家に着いた時には、サイドブレーキが引けませんでした。おそらくどこか、たった一本の腱か靭帯の損傷で、車のサイドブレーキすら引けなくなるのです。1人で車から降りられませんでした。

 ギックリ腰になるたいていの方は、腰椎椎間板ヘルニアとか、腰椎圧迫骨折とか、腰部脊柱管狭窄症とか、側湾症とか、基礎疾患があるのですが、先ほども述べた通り正常な人でも、たまたま突然、一本の靭帯が延びただけでギックリ腰になり、ひどい時は歩くどころか立つこともできなくなる、これが怖いところですね。とにかく何か行動に移る時、急に動かないこと。あと毎日20回「腕立て伏せ」を続けることで腹筋と背筋が均等に鍛えられます。私はこれがギックリ腰の最適の予防法と思っています。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

編集者のオススメ記事

ドクター備忘録最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス