「神戸牛」という牛がいるのは勘違いだった 芦屋の医師が調査→神戸肉流通推進協議会は「神戸ビーフ」という呼び名を推奨

 「ブランド牛」といって真っ先に思い浮かぶのは私の地元の自慢、神戸牛に、あとは松阪牛・近江牛などでしょうか。ところで「神戸牛」「神戸ビーフ」とは何を定義としてそう呼ぶのでしょう。実は驚いたことに「神戸牛」というものは存在しないのです。神戸肉流通推進協議会という組織があり、協議会は「神戸ビーフ」という呼び方を奨めています。今回は「神戸牛という牛がいる」というのは勘違い、というお話です。

 兵庫県産の黒毛和牛である「但馬牛(たじまうし)」の中でも、一定の品質基準を満たす選りすぐりだけが「神戸ビーフ」と呼ぶことを許され、基準に満たなかった牛肉は「但馬牛(たじまぎゅう)」として流通します。令和5年度は但馬牛(たじまうし)として認定された7425頭のうち、6846頭が神戸ビーフの称号を獲得しています。

 さらに神戸ビーフの認定基準は日本一厳しく、その理由はそもそも但馬牛(たじまうし)の定義が非常に厳しいことにあります。協議会によると、兵庫県内の但馬牛の血統のみの交配を続け、兵庫県内の指定生産者が繁殖・肥育し、兵庫県内の指定食肉センターで処理することが但馬牛として認められる。そのうえで生後28か月~60か月の雌牛、または去勢牛であること、その中で等級など各種検査を合格した牛だけが、晴れて『但馬牛』として売買されることになります。

 ここまででも、但馬牛は牛肉界のエリートと呼んで良いのですが、神戸ビーフはさらに厳しい基準をクリアした、まさにエリート中のエリートです。神戸ビーフとして認定されるには、但馬牛の中でもさらに未経産牛・去勢牛であるという条件に加え、より高い等級と質の良い霜降りが必要。さらに雌では枝肉重量が270kg~500kg、などの重量制限まであります。大き過ぎるとよくないのは、但馬牛らしいキメの細かい肉質が損なわれるからとのこと。但馬牛は江戸時代から現在までその純血を守り続けており、日本の牛肉の消費流通量の約0.2%未満。これでは高価でも仕方ありませんね。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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