ウォシュレットは使い方次第で痔の予防にも悪化の原因にも 肛門科医が推奨する正しい使い方5カ条
最近痔の患者さんが多く来院され、ウォシュレット使用の可否について質問されますので今回は痔とウォシュレットの関係について解説します。
ウォシュレットは、排便後の肛門ケアに優れていますが、使い方次第で痔の予防にも悪化の原因にもなり得ます。
ウォシュレットの最大の利点はトイレットペーパーによる摩擦を避け、肛門周囲を清潔に保てることです。擦らずに済むことにより肛門を保護し、痛みを避けることができます。清潔にすることにより、切れ痔からの感染によって起こる痔瘻(あな痔)や肛門周囲皮膚炎を予防できることも大きなメリットです。ただしウォシュレットの以下のような誤った使い方は痔を悪化させます。
1.水圧が強すぎると粘膜を傷つけ痔の炎症を悪化させる
2.長時間洗浄しすぎると必要な皮脂まで洗い流し、皮膚の乾燥やかゆみを引き起こし、切れ痔の原因になることがある。
3.温度が高すぎると血管が拡張し、痔を悪化させる。
肛門科医が推奨する正しい使い方は以下の通りです。
1.水圧は必ず「弱」から始め、痛みのない範囲で調節する。
2.洗浄位置は患部を避け、周囲から優しく洗う。
3.温度は体温と同じくらいのぬるま湯が理想。
4.洗浄時間は3~10秒程度に留め、過度の洗浄は避ける。
5.洗浄後は柔らかいペーパーで押さえるように優しく水分を拭き取る。
以下の場合は早期に受診が必要です。
1.痛みが強い場合- 血栓性外痔核(血豆による痔)や、いぼ痔の嵌頓(血流障害)等の可能性があり早期の処置が必要となる
2.痛みに加えて熱がある場合-肛門周囲膿瘍の可能性があり早期の処置が必要となる
3.出血がある場合-特に中高年、がん家系の方は大腸がんの可能性あり。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。
