インフルエンザワクチン 流行するウイルスをどのように予想しているのか→世界のあちこちで患者から採取したウイルスを調べ情報収集
先月初めくらいからインフルエンザが増えており、例年より早く流行期に入っています。インフルエンザは高熱や倦怠感、頭痛などが続き、仕事や学校を休まざるを得なくなる病気です。毎年のように流行するため、対策が大切になります。その手段の一つがインフルエンザワクチンです。
ワクチンは、病気そのものではなく「弱くしたウイルスの一部」を体に入れ、知らせることで体が「戦い方の練習」をする仕組みです。この働きがいわゆる免疫と呼ばれるものです。これにより実際にウイルスが体に入ってきたとき、すばやく防ぐ準備ができます。ワクチンを打つと、かかったとしても症状が軽くすむことが多いとされています。
「毎年受ける必要があるの?」と思う方もいるかもしれません。答えはYesです。インフルエンザウイルスは少しずつ姿を変える性質があります。去年のワクチンでは効果が乏しい可能性があります。では今年流行するウイルスはどうやって予想しているのでしょうか。これは世界中の研究機関が協力して行っています。世界のあちこちで患者さんから採取したウイルスを調べ、「どんなタイプが増えているか」「どの地域で広がりやすいか」の情報収集をします。そして、そのデータが集まると、WHOの専門家が会議を開き、今年の流行株を予想します。その結果をもとに国がワクチンに入れるウイルスの型(株)を決めているのです。
新型コロナのパンデミック以降ワクチン接種について様々な議論がなされてきました。ワクチンに対する考え方は人それぞれですがワクチンは「必ず受けなければいけないもの」ではありません。自分や家族、身近な人を守るための「選択肢のひとつ」として考えてみてください。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。
