早すぎる!今年のインフルエンザ→主な原因は3つ「抗体保有率の減少」「海外からの人流増」「雨期のような気象」

 インフルエンザが異例に早期流行しています。8月から9月にかけて患者数が激増、私のクリニックでも例年11月1日解禁だったワクチンを9月24日から接種しています。ここ数年インフルエンザの変則的な流行が見られますが、私なりにその原因を考察してみました。

 インフルエンザはそもそも冬に流行する感染症でしたが、近頃は8月末から患者がみられ、今年8月28日には厚労省が流行宣言を発表しました。残っている過去の調査で一番早かったのは2009年に起きた新型インフルエンザ(pdm09)騒動でこれは特殊例。季節性では今年が過去最速らしいです。直近の発表では沖縄、東北、関東などで平常時の約3倍の流行速度とのこと。

 昨冬との大きな違いは、今年はA型インフルが多いことです。昨シーズンはB型が大流行し、A型が主流になるのは23~24年の冬以来です。なぜ今年はこんなに異例の早期流行になったのか。まず考えられるのはコロナパンデミックです。2020年以降インフルエンザの流行がなく、その間に私たちのインフルエンザに対する免疫が減衰したことは間違いありません。

 もう一つは海外からの人流増加です。日本の夏は南半球では冬で、今年の8月オーストラリアではインフルエンザが大流行しました。しかしそれよりも、東南アジアでの流行が波及してきた可能性の方が大です。東南アジアでは7月ごろから各地でインフルエンザが流行し、8月には香港・台湾でもA型インフルが多く、いま日本で拡大しているウイルスと一致しています。実際日本を訪れる外国人の8割は東南アジアからです。

 熱帯の東南アジアで7月からインフルエンザが流行する理由は「雨期」です。インフルエンザの流行は、寒くて乾燥している冬と思われがちですが、熱帯では雨期にインフルエンザが流行します。熱帯といえども雨季は寒く、屋内で過ごす時間が長くなり、飛沫感染でインフルエンザが拡大します。今年の日本は全国各地で断続的な大雨が降り、まさに雨季に近い状態でした。東南アジアから持ち込まれたウイルスが拡大するに充分の雨量だったのです。

 これらから、今年のインフルエンザの早期流行は抗体保有率の減少、海外からの人流増加、雨季に近い気象状況が要因と考えています。ではこれから冬を迎える中で、流行はどうなっていくのか。これは例年と同じと考えてください。9~10月から患者数が増え、秋の長雨に加えて、9月下旬の連休で人の移動や接触が増えます。そして10月から11月にかけて本格的な流行のピークが来ます。例年より早くワクチンを打つ人が増えると、年が明けてB型が流行するでしょう。

 ワクチン以外の予防法は言わずと知れた、手洗い・マスク・換気です。もうこの言葉は聞き飽きておられますよね。今シーズン増えているA型は症状が軽いと言われていますが、実際に来院する患者さんを見ているとそうでもなさそうで、倦怠感と頭痛は昨年より重症な印象です。結局はしっかり食べて寝て休養する。これが一番です。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

編集者のオススメ記事

ドクター備忘録最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス