清原さんとの「縁」もあって人気店の仲間入り 代官山で話題のパティシエは元カープ投手

 元広島カープ投手で「あつかんリレー」の『あつ』こと小林敦司さん(47)は現在、パティシエに転身。東京・代官山のカフェレストラン「2-3Cafe Dining」は来春で開店10周年を迎える。有名店で修業したチーズケーキ(700円)が大人気で昨今はカープ女子も集うが、店が軌道に乗ったのは清原和博さんの存在が大きかった。

 東急「代官山」から徒歩3分ほど。おしゃれなカフェや雑貨店が並ぶ路地を入ったところに「2-3Cafe Dining」はあった。店内は10坪ほど。店長の小林さんは47歳とは思えないほど若々しく、差し出された名刺にはプレイングマネジャーと英語で書かれていた。

 「元プロ野球選手の店というのを前面に出したくなかったんですが、店名に数字をつけたくて2-3に。昼はランチもしていて夜はダイニング。一番自信があるのはチーズケーキです」

 父親が東京・赤坂の高級和食店「一ツ木 竹林草」のオーナー板前だったこともあり、引退後は飲食の世界へ。2年半ほど手伝った後にパティシエを目指す。名店「キルフェボン」で5年ほど修業。その後も他店で経験を積み、2011年におしゃれな街、代官山にカフェをオープンした。

 代官山は狙い澄ました場所だったかと思いきや「勢いだけ。平日にどれぐらいの人通りがあるとかのリサーチもしなかった。経営者なら計画性を持ってやらないといけませんよね」としきりに反省。「来年の4月30日で10周年ですが、10年やっているだけですよ」と謙遜した。

 プロ野球選手としては千葉・拓大紅陵から1990年ドラフト5位で広島入団。「監督は山本浩二さんで投手王国の時代。その後、三村さん、達川さんにお世話になり、緒方さんをはじめ、先輩にもかわいがってもらいました」

 95年には待望のプロ初勝利。それが唯一の勝利ともなるが、ケガから立ち直った99年には30試合に登板し、同姓の小林幹英投手との継投は当時の達川光男監督が「あつかんリレー」と名づけ、カープの呼び物ともなった。

 「記念のボールは家にあります。プロでの一番の思い出ですね」

 2000年に広島を戦力外となり、テスト入団したロッテも1年で退団するが、広島時代に巨人の清原和博さんと対戦したことが、不思議な縁でその後つながっていくのだから人生はおもしろい。

 「清原さんとは3度対戦していて、1軍に上がった試合でいきなり頭にデッドボール。試合後、謝りに行きました。あとは三振とホームラン。いまでも僕らの世代にとってはスーパースターですし、店が軌道に乗ったのも清原さんのおかげです」

 小林さんによると、開店間もない不安定な時期のこと。テレビ番組の企画で店を紹介してもらう機会があり、そこにデッドボールを受けた清原さんが予告なしに凄みを効かせた演技で現れたという。

 「ドッキリ企画で何も知らされていなかったから清原さんが突然店に入ってきたときはそりゃ、驚きました。でも、この番組をきっかけにお客さんが増えて行ったんですよ」

 その後、広島の成績がアップするに連れ、カープ女子も増え、25年ぶりにリーグ優勝してからはクライマックスシリーズに向け、大型テレビを設置し、スポーツバーのスタイルに。トマト鍋はファンの間では「カープ鍋」として定着するようになった。

 そんな小林さんに今後の夢を聞くと「チーズケーキだけに特化した店にしようかと思っているんです。味には自信があります」と返ってきた。店内のポスターには「世界一のチーズケーキ」のうたい文句まで。

 「これもテレビ番組で社会学者の古市憲寿さんに、そんなに自信あるなら『世界一にしちゃえば』と言われ、ポスターもいただいたんですよ」

 それでは、と実際いただいてみると、なるほど納得の味。そこには本格派のパティシエがいた。チーズケーキ一本もありかもしれない。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

◇カフェレストラン「2-3Cafe Dining」 東京都渋谷区猿楽町24-1 ROOB2 1F

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