【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】「手柄を横取りする上司」が出世していく組織でどう行動すべきか
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 会社の上司についてです。私をふくむ後輩の手柄を平然と横取りしていくヤツがいます。異常なまでに平然としています。横取りしているという意識がないがごとくです。その上の上司が分かっていてそれなりの評価をすればいいのですが、あろうことか出世していきます。まるで、「横取りして平然としていることも能力である」と示しているかのようです。こういうヤツはどこにでもいるのだろうと思って慰めてますが、凹ませるにはどうしたらいいでしょう。というかこんな組織、去るべきですよね。グチみたいになってすみません。
【回答】 職場での理不尽、特に努力や成果を横取りされたときの感情は、簡単には言葉にできないと思います。しかも、それを平然とやってのける人間が結果として評価され、出世までしているという現実。これは悔しさというより、虚しさに近いものではないでしょうか。あなたが感じている「これは正しいのか?」という疑問は、組織に身を置く多くの人が一度は抱えるものだと私は思います。
私自身、20代から経営の現場にいて、多くの人事評価や昇進の判断に関わってきました。その中で強く感じるのは、組織というものは、必ずしも“正しい人が報われる場所”にはなっていないケースもあるという厳しい現実です。特に、評価制度が曖昧な組織、成果の可視化がされにくい環境では、“声が大きい人”“要領がいい人”が目立ってしまうことがあります。
ただ一方で、組織というのは「人を見ているようで、実は長い目で“結果と影響”を見ている場所」でもあります。横取りを繰り返す人間が短期的に出世することはあるかもしれません。でも、他人の信頼を損ない続けるような行動は、いずれ必ずその人自身の限界をつくります。本質的に組織を動かす力は、信頼に支えられた協働の中にあるからです。
ご相談の中にある「こういうヤツはどこにでもいるのだろうと思って慰めている」という一文。その通りです。そして、そうした“ズルをして上にいく人”が一時的に評価されることで、組織全体が持つべき価値観が歪んでしまうのも事実です。ではどうすればよいか。ひとつの選択肢として、「凹ませたい」「やり返したい」という感情を行動の原動力にするのは悪いことではありません。ただ、それを“個人に向けた復讐”という形にするのではなく、「自分が圧倒的な実力と成果を見せて、組織の評価軸そのものを変えていく」という方向に変換できるかどうかが分かれ目です。
もうひとつは、冷静に今の組織を見つめ直すことです。評価の軸があまりに歪んでいて、声の大きさや印象操作が実力以上に支配しているようであれば、それはあなたの力を正しく活かす場ではないかもしれません。組織を“自分を試す環境”として選び直すことは、キャリアにおいて重要な判断です。実際、私は多くの経営者と話す中で、「理不尽な評価がきっかけで環境を変え、そこから大きく成長した」という人を数多く見てきました。
最後に、怒りや悔しさは人を動かす強いエネルギーにもなります。ただ、それを使い捨てず、長く使える“燃料”に変えるには、冷静な視座と目標の再設定が必要です。あなたの努力と誠実さは、必ずどこかで正当に評価される場に出会います。今はその分岐点かもしれません。自分の信じるやり方を貫けるか、力を活かせる環境を選び取れるか。どちらを選んでも、あなたの行動が今後の価値を決めていきます。応援しています。
◇西村 誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万2000人。





