【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】暗号資産が本格的に社会インフラとして根付くには
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 暗号資産についての西村さんのお考えを知りたく、メールをお送りします。暗号資産の未来をどのようにお考えでしょうか。やがてはにしたんARTクリニックでの支払いも暗号資産で受け付けるということになってくるのでしょうか。トランプ大統領は米ドルに連動して価値を安定させる暗号資産「ステーブルコイン」の規制を整備する法案に署名しました。発行者に資産の裏付けを求め、コインの信頼性を高める狙いなのだそうです。そうはいっても時々、暴落したというニュースがあって強く印象に残っているので怖い感があります。
【回答】 ご質問ありがとうございます。暗号資産はこの十数年で急速に存在感を増し、いまや世界の金融システムやテクノロジーの進化と切り離せない存在になりました。一方で、価格の急変動や規制の遅れといった課題も抱えており、多くの方にとって「将来への期待」と「暴落の不安」が入り混じる対象だと思います。
まず、暗号資産の未来についてですが、私は今後の大きな流れとして、投機対象から実用的な金融インフラへと進化していくと見ています。特に法定通貨と価値を連動させるステーブルコインや、中央銀行が発行するCBDC(中央銀行デジタル通貨)は決済や国際送金のスピード、コスト、利便性を飛躍的に高める可能性があります。米国ではトランプ大統領がステーブルコイン規制法案に署名し、発行者に資産の裏付けを義務付けることで信頼性を高める方向に動いています。こうした制度面での整備は、暗号資産が社会で広く受け入れられるための重要な条件です。
医療分野での応用についても触れます。現時点で、にしたんARTクリニックで暗号資産決済を導入する計画はありませんが、今後、安全性と利便性が確保され、かつ患者さんにとって明らかなメリットがあると判断できれば検討の余地はあります。特に価格変動の大きな暗号資産よりも、ステーブルコインやCBDCのような安定型の方が現実的な選択肢になるでしょう。
とはいえ、暗号資産は依然として高リスクな資産クラスです。過去の急落事例からもわかるように、短期間で大きく価値が変動するため、投資する場合は生活資金に影響しない範囲で行うことが絶対条件です。また、3~5%以上の安定的なリターンを得るには相応の経験や情報が必要であり、誰にでも再現できるものではありません。
普及のために必要だと考える条件は三つあります。第一に、規制と透明性の整備。不正や詐欺を防ぎ、利用者が安心できる環境を作ること。第二に、価格の安定性。日常的な決済で使えるレベルまで変動幅を抑えること。そして第三に、既存の決済手段よりも優れたメリットを提供することです。この三つが揃えば、暗号資産は本格的に社会インフラとして根付くでしょう。
総じて、暗号資産はまだ成長過程にあるテクノロジーであり、その真価はこれからです。今は過渡期であり、過剰な期待や恐怖に振り回されず、動向を冷静に観察しながら、自分に合った距離感で関わっていくことが賢明だと考えます。利便性と安全性が両立する段階が訪れたとき、その可能性は大きく花開くでしょう。
◆西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万5000人。





