【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】自転車から転倒した女子小学生を助けるべきか…躊躇した理由は

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 高架橋につながる坂を私(男、40代)は自転車から降りて押し歩きしていました。小学低学年くらいの女子児童2人が自転車をこいだまま私を追い抜いていきました。しかし、ひとりは坂がきつかったようで自転車から降り、押し歩きとなりました。私はその児童を抜いて歩いていると後方から「ガシャン」と音がしました。振り返ると児童は自転車の下敷きになるような形で倒れていました。成人用の自転車で大きかったのでしょう。私は大人として助けるべきと思いましたが、児童が悲鳴でもあげようものなら痴漢、変態という奈落に突き落とされると思って躊躇(ちゅうちょ)しました。職を失う可能性もあります。ためらっていると先に行った児童が戻って来て事なきを得ました。私はどうするべきだったでしょう。

 【回答】 とても難しい状況でのご相談拝読しました。助けたいという気持ちと万一の誤解を恐れる気持ちの間で揺れるのは自然なことです。社会的なリスクを意識されているからこそためらいが生じたのだと思います。

 まず、大前提として子どもがケガをしそうな場面に居合わせた大人が適切に手を差し伸べること自体は「不自然でも不適切でもない行為」です。命や身体に危険がある場面では、ためらわず助けることが人として当然の責任とも言えます。ただし、現実には「誤解を招くのではないか」という不安がつきまといます。そこで重要なのは「助け方の工夫」です。

 例えば、倒れた児童に接するときにはできるだけ距離を保ちながら声をかけること。「大丈夫?手を貸すね」と必ず言葉を先に出す。声が周囲に聞こえる形であれば第三者がいなくても不自然さは減ります。さらに、可能であれば通りがかりの他の子や大人に「一緒に持ち上げようか」と呼びかけ、複数人で対応するのも誤解を避ける有効な手段です。

 もうひとつ大事なのは「一人で抱え込まない」ことです。見ず知らずの児童に触れることにためらいを覚えるのは当然ですが、だからといって完全に傍観してしまえば子どもにとっては大きな危険となります。声かけだけでも「大人が見守っている」という安心につながります。

 今回の場合、結果的には友人が駆けつけて事なきを得たとのことですが、もし周囲に誰もいなければ、勇気を持って声をかけ必要ならば自転車をどかす程度の最小限の援助をして差し上げるのがよかったと思います。助けることと不必要に身体に触れることは別です。

 まとめると、「助けるべきかどうか」ではなく「どう助けるか」を考えるのが現実的な答えだと思います。声かけを先に、周囲に知らせるように、そして必要最小限の手助けをする。この3点を心に留めておけば子どもの安全とご自身のリスク回避の両立は可能です。

 勇気と同時に工夫が求められる難しいテーマですが、こうして真剣に考えている時点ですでに「信頼される大人」の在り方に近づいているのだと思います。

 ◇西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万5000人。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

にしたん社長最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス