【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】父が病気になり家業の継承問題が発生…何を軸に考えるべきか

 私は大学を卒業し新卒で流通関連の企業に入社し、現在3年目です。仕事にも慣れ充実した環境で働いております。ですが先日、久しぶりに実家に帰省したところ、父が病気であることを初めて知りました。父はコンビニやフランチャイズの店舗を運営する企業を営んでいるため、体調が悪化したり万が一の際には、私を含め家族が会社を引き継ぐことになります。家族は母のほか、結婚して別の場所で暮らす姉がいます。父は私に跡を継いでほしいようです。「実家のことも心配、でも今の仕事も大切にしたい…」と頭の中がぐるぐるしています。どのような基準や考え方、優先順位などをもとに判断したらいいのか、西村社長にアドバイスをいただけると大変心強いです。よろしくお願いします。

 【回答】 ご相談ありがとうございます。お父様の病気や事業承継の可能性を知り、ご自身のキャリアとの間で揺れているお気持ちとても自然なことだと思います。大切なのは「実家を継ぐべきか否か」という二択で考えるのではなく、「自分は何に納得できるのか」という軸で考えることです。

 まず、実家の事業を継ぐということは単に会社の経営を引き受けるだけではなく、従業員や取引先、地域との関係も背負うことになります。経営に対して覚悟や情熱を持てるのか、そしてその責任を引き受けられるのかという視点が欠かせません。一方で、現在のお仕事も充実されているとのこと。それはご自身の努力の成果であり、今の環境でしか得られない経験や成長の機会があります。どちらも大切に思う気持ちは矛盾ではなく、むしろ自然なことです。

 そのうえで、家族との対話を避けずに行うことを強くお勧めします。お母様やお姉様にとっても、事業を支える形は「あなたがすべてを引き継ぐ」以外にも選択肢があるはずです。信頼できる従業員に権限を渡したり、専門家を迎え入れたり、場合によっては売却・譲渡という方法もあります。まずは一緒に現実的な可能性を整理することが心の負担を軽くしてくれるはずです。

 また、今すぐ決断を下す必要はありません。一定期間は現在の仕事を続けながら、休日や短期の休暇を使って実家の仕事を部分的に体験してみるのも有効です。実際に現場を知ることで自分に向いているかどうか、やっていけるかどうかを肌で感じられるでしょう。頭の中だけで考えるよりはるかに納得感のある判断ができます。

 最終的に重要なのは「自分が納得できるかどうか」です。家族のために無理をして事業を継ぐことが正しいとは限りませんし、逆に今の仕事を続けることを選んでも、誠実に理由を伝えれば必ず理解は得られるはずです。あなたが真剣に考え選び取った道であれば、それが最良の答えになるのです。

 焦らず段階を踏みながらご自身の気持ちを確かめてみてください。迷いは弱さではなく誠実さの表れです。その姿勢こそ、どちらの選択をしてもあなたを支える力になると信じます。

 ◇西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万5000人。

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