【回答者・前川清】心の内を打ち明けてみては

 【聞きます】3学年上の兄に劣等感を持っています。小中高と同じ道を歩んできましたが、ずっと兄の方がデキがよくて。いつも比べられてツラい思いをしてきました。以前はまったく会話もありませんでしたが、今はお互い大学を卒業して就職して社会人になり普通に話はします。でも、心の底にある傷は消えていません。2人兄弟ですし、将来を考えるとこのままでいいのかとか不安もあります。どうしたらいいでしょうか。(20代・男性)

 【答えます】結論からいえば、考えすぎじゃないかなと思いますよ。兄弟であれば互いに競争心があるだろうし、むしろあって当然。勝ち負けでつらい思いをすることは普通なことですよ。

 我が家にも、長男の紘毅(ひろき)と次女の侑那(ゆきな)が音楽活動をしていますが、現実的に2人の間に競争心がありますよ。見ていてわかります。片方がTVに出演したりメディアで取り上げられれば、もう片方はヤキモチが出てくる。おそらく劣等感は、それに似たようなものなのではないでしょうか。劣等感と悪いふうに思わず、プラスに考えてみてはいかがでしょうか。

 アドバイスできることは、兄と向き合って話をすることが大事です。以前は会話がなかったとのことですから、おそらく2人できちんと会話をしたことはないでしょう。兄弟ですから、自分が思っていること、心の内を打ち明ける。きちんと話をする。あなたが思っているほど、兄は悪いふうに思っていないと思いますよ。きっと「何をバカなことを言うんだ」という答えが返ってくると思います。

 3学年差といえば、ちょうど中学や高校では、兄が卒業して弟が入学する入れ替わりで、比べられやすい環境だったのですね。そんな小さいころの思いがずっと心に入り込んで気にし続けているでしょう。でも、あなたは今、大学を出て社会人としてきちんと働いて立派に生きているわけです。何らお兄さんに劣っていませんよ。

 血を分けた者同士。兄弟は仲良くしましょう。きちんとお互い向き合ってください。きっといい関係になると思います。

  ◇  ◇

 前川 清(まえかわ・きよし)長崎県出身、70歳。「内山田洋とクール・ファイブ」のリードボーカルとして、69年「長崎は今日も雨だった」でメジャーデビュー。「そして、神戸」「東京砂漠」などヒット曲多数。個性あふれる語り口でテレビ、ラジオ番組でも活躍中。

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