【金本知憲氏×新井貴浩氏対談4】強い広島は「空気読める選手が多い」

 デイリースポーツ評論家で前阪神監督・金本知憲氏(51)、昨季限りで現役を引退した新井貴浩氏(42)がスペシャルトーク。野球に対する考え方、取り組み方を語った。以下は対談その4。

  ◇  ◇

 -金本氏が監督を務めていた時は、よく若手選手に野球の鉄則を教えていた。

 金本「勝てなくなると、自由にやらしてないからダメだと言われるんやけどな(笑)。落合さんも言っていたけど、『無死満塁でゲッツーでいいから1点取って欲しい。それができるバッターを俺は信用する』って」

 新井「(石井)琢朗さんも同じ事を言っていましたね。ゲッツーでいいからって。ダメなのは内野のポップフライと三振だって」

 金本「それは俺が去年まで100回くらいコメントしたよな(笑)」

 新井「僕は打席に入ったら内野の守備位置とか1球、1球見るようにしていましたよ。打席に入る前と追い込まれてからでは変わりますし。広島の選手はそれが分かっている。この3連覇というのは本当に大きい。勝ちながら学習していっている。誰が3割打っているとかそういうのじゃないんです。若い選手が多いけど、どうしたら勝ちに近づく、負けに近づくというのが分かっている。この1球で変わるよっていうのが全部分かって、打席に入っている。フルカウントになったらランナーは自動スタートでランエンドヒットの形になるでしょ?そこで万が一、ボール球を振ったら、三振ゲッツーになったらヤバいというのを分かって必死に見極めよう、必死に対応しようとします」

 金本「それは技術があるからよ。そういうことは3年間、教えてもできなかったな」

 新井「それは技術ですか?意識付けの問題ではなくて?」

 金本「意識付けはしとるけど、できないんよ。カープの選手は分かっているし、できるんよね。いい選手がそろっているわね」

 新井「今年はピッチャー陣も頑張ってて1位なんですけど、去年までは特殊。打高投低のチームで逆転勝ちがすごく多かった。それで3連覇できるって普通はなかなかないですよね。長いシーズンを考えれば、落合さんがそうだったように投手陣が良くて1点を守り切るのが普通です。でも逆転、逆転、また逆転って。もう九回とかになっても3点ビハインドで先頭バッターが出たら『よし、逆転できるぞ!』って雰囲気になりますもん。特にマツダでは。中盤でも5点ビハインドでも『よし、行くぞー』って感じの雰囲気。そこで相手のエラーが出ようもんなら、どんどん攻めていく。なかなかこの野球で3連覇というのはないですよね。いかに野手が、打撃がすごくて考えていたかってことなんですよね」

 -野球脳が高かった印象がある。

 新井「そう。琢朗さんとか河田さんの指導が大きかった。あの2人は本当に大きかったです。ラッキーだったんですよね。4、5年前くらいかな。河田さんと琢朗さんが来て、誠也とかキク(菊池涼)があの指導を受けたのは大きい。ヤクルトは今から絶対に強くなると思いますよ。ピッチャーがそろってくれば。あの両コーチは本当に大きいですよね?」

 金本「俺は一緒にやっていないから分からんけど。走る意識もあったし、足の速い選手も多いよな」

 新井「河田さんが最初にコーチで来られた時に、これだけは徹底してくれと。『とにかく三振してキャッチャーがはじいたら、一塁まで全力で走ってくれ』って。弱いチームほどそれができないって。とにかくアウトになってもいいから、一塁まで全力、8割でもいいって。それをカープは外国人選手にまで徹底できるんですよ。バティスタが走ったでしょ?それを巨人の小林が暴投して出塁したこともあった。それを徹底したんですよね。レギュラーだろうが、ベテランだろうがちょっとでも抜いたら叱ってましたからね」

 -今年も広島は強い。

 新井「空気読める選手が多いんですよね。こないだ(5月24日・巨人戦)の野間のセーフティーを見ていると、本当にそう思います。坂倉がヒットで出て、2死二塁からパスボールで三塁に進んで。野間はきっちり内野の守備を見て、セーフティーバントをしたんですよ。それが成功して得点になったんですけど、ツーアウトだしサインなんか絶対に出ない。あれは琢朗さんが口酸っぱく言っていた。常に(周りを)見ろと。打つだけじゃないんだから。セーフティーバントの構えだけでもいいと。野間だけじゃなくて足が速い選手にはね。丸でもセーフティーバントしてたりしましたから」

 金本「阪神でそれをやったりしたらすぐ批判される(笑)。何をやらしてるんやってな」

 新井「だから僕は金本さんに監督をやってて欲しかった。批判できるから」

 金本「あり得ない采配ってか!?」

 新井「これは面白いでしょ(笑)きっと真夜中に電話がかかってきそうですけどね…」

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