黒田雅之“働き方改革”で再起決意 生活安定「伸び伸びとボクシングができる」

 ボクシングの川崎新田ジムは18日、川崎市内で会見を開き、所属選手でIBF世界フライ級6位・WBC世界同級14位の黒田雅之(34)=川崎新田=が昨年5月にIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に挑戦して敗れて以来の再起戦を、11月12日に後楽園ホールで広本彩刀(23)=角海老宝石=とのスーパーフライ級8回戦で行うと発表した。

 “働き方改革”が復帰を後押しした。ムザラネに敗れた後は引退も考えたという黒田。長くコンビニ店員のアルバイトを続けており、時間をかけて考えているうちに現役続行の思いが出てきたものの、「やりたいと思ってもお金がない」という苦しい状況にあった。

 そこに所属ジムの新田渉世会長を通じて舞い込んだのが、川崎市の「働き方改革」モデル事業に2度採択されたストーリー株式会社代表取締役・松尾実里氏の取り組み。中小企業に子育て主婦やスポーツ選手などをインターンシップ派遣して短時間雇用の普及促進を図り、多様な人材の活躍、多様な働き方による人材確保を目指すものだ。朝と夕方に子どもの送り迎え、食事の支度をする子育て主婦と朝にロードワーク、夕方にジムワークを行うボクサーが同じような境遇にあることから、新田会長が子育て主婦にマッチングしている仕事をボクサーにもして欲しいと要望した。

 それによって、黒田は「将来的に高齢者から子どもまで運動を通じて健康で笑顔になってもらうようなことをやってみたい」と思っていたこともあって、株式会社ソエルテ(山上剛史代表取締役)が運営する高齢者の介護施設で昨年11月からインターンシップを開始。業務に「将来的やってみたい枠の中の1つだった」と親和性を感じ、今年の3月からは同社で人生初の正社員として勤務することになった。

 コンビニ店員時代は夜が明ける前に勤務した後にロードワークを行って仮眠を取ることも多かったというが、今は生活リズムも収入も安定。ボクシングに打ち込める環境が整って再起戦が決まり、「今まではボクシングで成功しなければのたれ死ぬ、そういう覚悟でやって来た。今回、生活するに困らない環境を与えいただいた安心感が、ハングリー精神にマイナスになるとは思わない。伸び伸びとボクシングができる。何年も次はないと思ってやって来たのが一段落してどうなるのか。11月12日はいい結果が出るとしか思っていない」と自信を示した。

 目指すは2度挑戦して手が届かなかった世界王座。介護をしている方々へ「チャンピオンベルトを見せたいですね」と目を輝かせた。

 また、同ジム所属で黒田と同じ形で就職した新人2選手のデビューも発表。大石真之(25)は10月22日に後楽園ホールで千葉勇太(全日本パブリック)とフェザー級4回戦で対戦。オーストラリアに留学経験があり、TOEICは825点、特許事務所に勤めていたというインテリだ。

 白崎隼樹(27)はア33勝25敗の戦績を残したアマチュアエリート。10月のB級プロテストに合格すれば11月13日に後楽園ホールで大峯優真(ワタナベ)とスーパーライト級6回戦で対戦する。

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