「ただの新人じゃない」現役高校生の18歳・山岡聖怜 デビュー16日でベルト戴冠の快挙「本当に私でいいのかな」90キロ巨体をジャーマン葬で殊勲
「プロレス・マリーゴールド」(19日、後楽園ホール)
タッグ王座のツインスター選手権が行われた。現役高校生のスーパールーキー・山岡聖怜(せり、18)が、5月での引退を発表している高橋奈七永(46)とタッグを組み、王者のポジラ&タンク組に挑戦。19分36秒、山岡がジャーマンスープレックスからのエビ固めでタンクにフォール勝ちし、新王者に輝いた。山岡は今月3日のデビューからわずか16日で、キャリア5試合目にして快挙となるベルト戴冠を果たした。
序盤は巨体タッグに苦戦した。いきなり奇襲を受けると、場外戦ではパイプ椅子攻撃や壁にたたきつけられるなど防戦一方となった。リング上でもパワフルな攻撃を受けて劣勢となったが、奈七永のサポートも受けながら歯を食いしばって奮闘。終盤、鋭いスピアータックルで形勢を逆転すると、奈七永の冷蔵庫爆弾(ダイビング・ボディプレス)で援護を受けた後、最後は180センチ・90キロの巨体をジャーマンスープレックスで投げ切り、必死のエビ固めで抑え込み3カウントを奪った。
左肩に大きなダメージを負いながらもベルトを奪った18歳の新星は、奈七永とがっちり抱擁。「奈七永さんが引退する前にどうしてもベルトを巻いてほしかった。親孝行ができてよかった」と感慨を込め、「私、やりたいことがあるんです」と言うと、日の丸の国旗を奈七永に手渡し、肩車。自信のバックボーンでもあるレスリングの五輪金メダリストのようなウイニングランで“恩師”に感謝を込めた。
パートナーを務めた奈七永は「お互い導かれて、(新団体の)マリーゴールドで出会って、デビューして5戦目だが関係ないよね。年齢もただの数字」と18歳の肩をたたき、「(フィニッシュは)完璧な3カウントだったんじゃないですか。あんなにやられてもしっかり受けて、気持ちが折れなかった。パッションを感じました」とねぎらった。
奈七永自身は1996年の全日本女子プロレスでのデビュー以来、さまざまな新人を見てきた中で「(山岡は)レスリングの経験がある中で、それをプロレスにつなげる意識がしっかりある。キャリアはまだ半月だけど、彼女の人生キャリアがまんまプロレス(のキャリア)になっている気がする。だから、ただの新人じゃない部分がそこなのかなと、今日も試合してみて改めて思いました」と太鼓判を押した。
初めてのベルトを巻いた山岡は「実感は湧かなくて、本当に私でいいのかな」と目を丸くしつつ、「このベルトを巻いたからには、ベルトの価値を上げます。頑張ります」と拳を握った。