「ＯＮＥ」（２３日、さいたまスーパーアリーナ）

　ＯＮＥは２３日、第８試合で予定されていた、ＳＢのエース・海人（２７）と、初代Ｋ－１スーパーウエルター級王者のマラット・グレゴリアン（３３）＝アルメニア＝のキックボクシングルールマッチを中止とした。グレゴリアンが前日計量で制限時間以内に尿サンプルを提出できず、その後、制限時間後に提出したものの、３５０グラム超過で計量失格。さらに、キャッチウェイトの交渉をしたものの不成立となり、試合自体が中止となった。

　この一件について、ＯＮＥのチャトリＣＥＯは大会後の会見で「一番の注目だったカードだが、中止になり大変残念。おそらく一番簡単な道を選んだんだと思う」と失望感を口にし、「海人がキャッチウェイトに合意せず、試合が実現しなかった。（海人が）恐れを持っているから戦わない道を選んだのではないかと思っている」と、非難した。

　海人へはファイトマネーを全額支払うことを明かした上で、不戦勝扱いにはならないと説明。「（グレゴリアンの体重超過は）わずかな差だったので、戦うチャンスはあったと考えている。海人は勝利ではないが、ファイトマネーは全額もらっている。本当のファイターだったら（戦うべき）。（日本語で）５パウンド（約２・２キロ）違ったらわかる。でも３００グラムだけ」と、体重超過のグレゴリアンを擁護し、海人を非難した。

　大会当日の試合中止決定を受けて、海人は自身のＸで「ここまで仕上げてきて試合が出来ないのは本当に悔しいし、なにも知らない人達から色々言われる事も悔しい」と無念さをにじませつつ、「この階級にいるならまたいつか巡り合う。その時は万全な状態で倒させてくれ」と謝罪とともに再戦を期した。

　一方、グレゴリアンはインスタグラムのストーリー機能を使用して長文をつづり、「（尿比重を計測する）ハイドレーションテストのために水分を飲み続けなければならず、（リミットを）３５０グラム超過してしまった！」と謝罪するのかと思いきや、「この３５０グラムの体重差は、対戦相手にとっては重すぎて、彼（海人）は試合を辞退したのだ！」と、なぜかキャッチウェイトを受けなかった海人を非難する方向に急展開。「水分補給を怠ったことはお詫びする！（でも）彼は本当の日本人のファイト・メンタリティー（大和魂）を受け継いでいない！彼は（格闘技ではなく）テニスでもしていた方がいい！」と批判を展開していた。