暗黒新日本の社長にされる寸前だった

 今回は新日本プロレス暗黒時代の内紛について話そう。

 ゴタゴタは02年頃から始まっていた。株主、役員の闘争。アントニオ猪木と反猪木派。当時の株主は佐川急便が筆頭で、アントニオ猪木さん、テレビ朝日、坂口征二さん、藤波辰巳さんの順だと思われていた。佐川は全く関与しない株主で、猪木さんが実質的なオーナーだった。

 猪木さんはプロレスにも手を出してきたK-1やPRIDEと対等に渡り合える強い組織を作らないといけないと考えていたのだろう。このままだと飲み込まれる。逆に飲み込んでやろうと。だけど、周りはカテゴリーが違うと反発していた。

 そして04年6月、猪木さんは経営コンサルタントの草間政一さんを社長に起用した。実は、猪木さんは誰にも言わずに佐川の株を買い戻して、過半数の筆頭株主になっていたんだ。草間さんの名前が出たときにそれが発覚したのかな。みんなビックリ仰天だったよ。

 猪木さんは、みんな自分の言うことを聞かないから草間さんをねじ込んだ。経営のスペシャリストに細かくチェックされるということで、反猪木派はおびえていた。そこからは裏切り合い。お前が悪いんだろ、いや、お前だろ、という感じ。誰が切られた、誰と誰がくっついたと、日々情勢が変わった。

 ところが、しばらくして草間さんの様子を見極めた反猪木派は、今度は草間さんを取り囲んでやり玉に挙げた。孤立した草間さんは半年も持たずに反猪木派に寝返ってしまったんだ。さらに、翌05年には自分がだまし合いの中で社長にされそうになった。

 新日本でよくあったことだけど、まずうわさを立てる。猪木さん側と思っていたある役員が「蝶野が社長をやりたがっている」と。自分は全然知らなかったけどね。そして、その年の春、草間さんが解任されるとは知らない頃。その役員から「猪木さんが会いたがっている」と言われた。猪木さんの部屋に入る前には「とにかく『やる』と言ってくれ」と。そこで気づいた。この人の策だと。猪木さんには「蝶野がやりたがっている」と逆のことを言っていたんだ。自分にはその意志はない。猪木さんもサイモン猪木という次期社長の隠し玉を持っていたから、部屋に入るとお互いすぐに分かったよ。

 とにかく、そういう世界。テレビドラマみたいだった。(プロレスラー)

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