亀嵩駅「亀嵩駅そば弁当」750円

現在の亀嵩駅そば弁当
2枚

 島根県にある木次線亀嵩駅は松本清張の長編推理小説「砂の器」で舞台となり、私はテレビドラマで楽しんだ。その亀嵩駅は駅舎自体がそば店になっていて「亀嵩駅そば弁当」の販売だけでなく食事も出来る。昼時には行列が出来ることもある人気ぶりだ。私が初めて亀嵩駅の立ち売り販売を見たのは2000年。関西からは1泊しないと奥出雲おろち号に乗れなかった頃、夜行のムーンライト八重垣で出雲市まで行き、朝食などで時間調整して木次線の普通列車に乗り換えて木次に到着。そこからトロッコ列車の奥出雲おろち号に乗って風を感じ、景色を楽しんでいた時に着いたのが亀嵩だった。乗降客は全くないのに、昔ながらの立ち売りに偶然出会えて驚きと感動だったのを覚えている。予約と先着売りで残念ながら買えず、一緒に行った5歳の息子が泣きじゃくったのを鮮明に思い出した。当時は500円のシンプルな、そばだけの弁当だったが今では薬味が充実して、それでも750円。先に控える3段スイッチバックや、おろちループなどの景観が待つ、下り列車右側の席で食べるのがお勧めだ。

  ◇  ◇

 そば粉率90%の手打ちそば。厳選された国産のそば粉は石臼で皮ごとひき、奥出雲の名水を使って仕上げてある。

 温泉卵、とろろ、ノリ、ネギ、カツオ節の色々な薬味が、お好みの量に調節しながらかけることの出来る、ふた付き容器入りの甘めのダシによく合う。こしのあるそばは香りも楽しめてうまい。

 弁当の容器にも工夫が凝らしてあり、とろろと温泉卵の同居する丸い部分と隣り合うそばの仕切りが低くしてあって、流し込むことも可能。漬けずに全ての薬味を混ぜ合わすことが出来るような作りになっている。

 食べ終わったら最後は一粒のドロップでお口直しだ。

 駅舎で製造、販売しているのが他に例を見ない珍しさ。奥出雲おろち号が停車中に窓から手を伸ばして立ち売りから買うことが出来、昔ながらの風情が楽しめる現在では数少ない駅だ。

 750円。木次線・亀嵩駅「扇屋そば」Tel0854570034。(デイリースポーツ・柴田直記)

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