愛車に言われた“悪口”「死んだピカチュウ」が話題 運転中の落語家「運転席で大笑いしました」

 Twitterに投稿された1台のイタリア車の写真が注目を集めています。車の持ち主は落語家の桂文五郎(ぶんごろう)さん(37)。9月中旬、Twitter上で流行り始めたハッシュタグ「#愛車に言われた悪口集」を見た文五郎さんは、過去に言われた愛車への悪口を思い出します。それは「死んだピカチュウ」。写真とともにツイートすると、ユーザーからは「笑ってしまった」「じわじわくる」などの感想が寄せられ、いいねの数は2万を超えました。「本業の落語でバズらずに…」と苦笑いする文五郎さんが、死んだピカチュウの思い出を当サイトに語ってくれました。

■悪口の主は…道を歩いていた女の子

 愛車は2003年に日本に上陸したイタリア車「フィアット ムルティプラ」。知人から譲り受け、2021年4月に故障するまで約2年間乗り続けました。

 車が好きなので存在は知ってました。FCAジャパンのサイトにも「ヘッドライトは通常の位置にロービーム、フロントウインドウ下にハイビームを置くユニークなレイアウト」とあるように特徴的なフォルムです。「誰が乗んのやろ?」と思って見てたんですが、まさか自分が乗ることになるとは(笑)。しかし乗っているうちに愛着がわきました。走っているとよく「変なんおる」「何あれ」と注目されました。

 そんなある日。窓を開けて走っていると、お母さんと歩いていた小学生ぐらいの女の子が車に向かって大声で言いました。

 「死んだピカチュウや」

 女の子の表現が秀逸すぎて運転席で大笑いしました。女の子の目にはピカチュウが溶けてるように見えたんでしょうか。謎です。僕にはできない表現です。

 雨が降ると止まるようになり、ついに故障。手放すときはさみしかったですよ。

■二輪整備士として10年、工場長にもなったが…

 高校卒業後に落語家になるつもりでしたが、家庭の事情で二輪整備士として働き始めました。バイクの整備を10年間。工場長にもなりました。30歳を目前にした28歳のとき、この先の人生について考えました。どうしても落語家の夢をあきらめきれず、仕事を辞め、師匠(桂文珍さん)に弟子入りしました。

 工場長として人に指示し、指導する立場から、修業はゼロからのスタート。最初は戸惑いもありましたが、憧れの世界にやっと入れたという気持ちの方が大きかったですね。

 生活基盤も大いに変わりました。嫁さんの実家に住まわせてもらい、片道2時間かけて師匠の家に通う毎日でした。修業が明けてやっと夫婦2人の暮らしができると思ったら、今度はコロナ禍で仕事がなくなりました。バイク整備のアルバイトもやりました。修業中も、コロナ禍も、ずっと嫁さんに助けてもらっています。

 それなのに二輪と車は趣味というか生きがい。ダメな人間です。これまで所有した単車は16台ぐらい。実は「死んだピカチュウ」と言われたムルティプラの次に、国産の普通乗用車にも手を出しました。でも面白くなくて。9月にスバルレックスに乗り換えたところです。人生で一番、金銭的にも精神的にもキツイときに購入しましたが…最高です。

 今回、早朝5時過ぎに何とはなしに投稿した愛車の思い出話がバズりました。バズったのは初めてです。落語でバズることなく、車でバズり複雑な気持ちですが、仕事柄、皆さんに笑いを提供できてよかったです。

▽桂文五郎さん…1984(昭和59)年9月8日、大阪府堺市出身。2013(平成25)年1月1日、桂文珍さんに入門。天満天神・繁昌亭や神戸新開地・喜楽館などで活動中。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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