早いものでもう四十九日 Internet Explorerの位牌にしんみりする人たち 制作者に聞いた
Internet Explorerの位牌がSNS上で大きな注目を集めている。
「今日はInternet Explorerの四十九日です」とこの作品を紹介したのは南村杞憂さん(@kiyunamura)。数々の独創的でメッセージ性あふれるアート作品を手がけ話題の若手クリエイターだ。
一時期はウェブブラウザの代名詞と言えるほど圧倒的なシェアを誇ったInternet Explorerだが、今年6月16日にMicrosoft 社がサポート終了を宣言。南村さんが寄せたどこまでも透き通ったアクリル製の位牌は、そのあっけない最期になんとも似つかわしい物悲しい出来栄えだ。南村さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「誰か上手いこと戒名つけて。」
「まだ日本のどこかでは、成仏できずに稼働しているIEがあるとかないとか。」
「迷わず Windows Server からも成仏しておくれ」
「しかも10日もしないうちに初盆迎えるやん。初夏に亡くなると法事続きになるんやなぁ…と、IEパイセンのタヒから学ばせてもらったわ」
など数々の絶賛の声が寄せられている。
南村さんにお話をうかがってみた。
ーーこの作品を作ろうと思われたきっかけをお聞かせください。
南村:透明なアクリル製の位牌に文字化けでオリジナルの戒名をあてがった作品を普段から制作することがあり、その延長線として、Internet Explorerのサービスが終了すると聞いた時に既に「これは位牌を作らねばならないな」というアイデアの芽はありました。
ーー6月16日からずっと49日を数えていたのでしょうか?
南村:ただなんとなく出しそびれてしまって(笑)。すぐには作らずに寝かせてたんですね。それで、8月にある展示の制作にあたって、なんとなく思い出したように「今作ろう」となって。それで完成してから「そういえば四十九日っていつになるんだろう?」と急に思い立って調べてみたら、本当に偶然なんですがまさにその日で、やや吃驚しつつTwitterに上げた次第です。
ーー南村さんはこれまでInternet Explorerを使用していたことはありましたか?存命時のイメージや使い心地についてご感想をお聞かせください。
南村:私は1995年生まれなのですが、幼少期から家にあったMacBookでずっとインターネットをしていました。デジタルネイティブってやつですよね。まあ途中からSafariやChromeを使い始めましたけど……(笑)。インターネットの原体験はやはりみんなInternet Explorerですよね。
ーー今作の制作にあたり苦労されたこと、こだわったことなどお聞かせください。
南村:普段から透明な位牌を作品にしていることがあるので、普段の制作の流れで作りました。強いて言うなら、アクリル製のオールクリア素材なので、撮影の時のライティングはこだわりました。影がとても美しいのですが加減を誤ると本体が全く見えなくなってしまうので(笑)。
ーー今回の反響へのご感想をお聞かせください。
南村:みんなInternet Explorer大好きですね!IEへの愛や思い出話なんかもタイムラインに流れてきたのですが、同時にお仕事で扱っている人たちの愚痴なんかも沢山拝見したので大変面白かったです(笑)。今はvaporwaveも流行ってますしね。今後こういったテイストの作品もどんどん作っていきたいですね。
Internet Explorerの位牌はウェブサイト「norm」で10点限定で販売中。信心深い方にもインテリア好きの方にもおススメのクールなアイテムだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)