交通事故で下半身不随になった黒猫 猫カフェでは周囲に仲間の輪ができる人気者 充実した10年を生きた

2013年1月、福岡県のとあるエリアで、車道脇でうずくまる黒猫がいました。どうも車にひかかれてけがをしている様子。黒猫を見つけた福岡県古賀市にある猫カフェ・Cafe Gattoのスタッフでした。

そのエリアを訪れていたのは保護目的ではなく、捕まえられそうなものは手元になく、ただただ見守ることしかできませんでした。

■心ある人たちの連携で黒猫を保護

そんなスタッフを前に、少しずつ黒猫が動き出しました。

事故直後でパニック気味だった黒猫は、スタッフから逃げようとします。車の往来が激しい車道を横切り始めたため、スタッフは大慌てで追いかけました。幸い、通りかかった車は黒猫とスタッフの気配を感じ停まってくれ、なんとか黒猫を捕獲できました。

相変わらず黒猫は暴れまくり。その様子を見たある自動車の女性が、「これを使ってください」と黒猫を入れるためのエコバッグのような袋をくれました。ほどなくして、連絡しておいた別のスタッフも到着。複数の人たちの連携によって、なんとか黒猫を無事保護することができました。

■下半身付随になりながらも優しい一面を見せる

多くの人の連携で救われた黒猫を、スタッフはすぐに動物病院に連れていきました。すると、腰のあたりがパックリ開いており、骨や肉が見えていました。獣医師は「助かるかどうかわからない」とも言います。

黒猫の傷と獣医師の診断を前に言葉を失うスタッフでしたが、大手術の末に、なんとか一命を取り留めることができました。ただし、下半身不随という後遺症が残りました。この後、黒猫は3カ月という長い入院期間を過ごし、治療に加え圧迫排尿などのリハビリなどを実施しました。

当初、傷の影響からか威嚇することが多く、スタッフや看護師にもなかなか心を開いてくれませんでしたが、このリハビリを繰り返すうちに少しずつ心を開いてくれるように。また、動物病院に他の子猫が入院した際には、子猫に寄り添い体をなめてあげるような一面も見せました。

■その優しさから周囲の猫たちも集まってくるように

元気になった黒猫はCafe Gattoで迎え入れることにしました。後につけられた名前は「くまお」。熊のように大きな体にちなんでこう名付けられました。

Cafe Gattoに来てからのくまおは、他の猫たちに優しく接する姿をよく見せるようになりました。どんな猫にも分け隔てなく接するくまおの周りには、自然と多くの猫たちが集まるようになり、みんなから頼られる大きな存在になりました。

■スタッフに見守られながら安らかに旅立った

スタッフが最初にくまおに出会ってから10年以上。くまおはCafe Gattoを象徴する猫として人気者となっていましたが、2023年に体調が悪化。動物病院に入院することになりました。

入院中、酸素室に入っていましたが、スタッフが面会に行くと努めて元気な姿を見せてくれました。くまおらしい一面ですが、残念ながら治療は劇的な改善には至りませんでした。

獣医師とスタッフは「くまおはここまでがんばったのだから、もう病院ではなく、安心できる場所で過ごしたほうが良いのではないか」と判断。カフェ用に購入していた酸素室があったので、くまおの療養をスタッフの自宅で行うことにしました。

くまおは安心した表情を日々浮かべながら、スタッフと一緒の時間をしばらく過ごしました。そして2023年11月にスタッフと家族に見守られながら安らかに虹の橋を渡りました。

くまおはその優しいオーラで10年、Cafe Gattoの猫たちを守り続けてくれました。スタッフは旅立っていくくまおの前で、改めて多くの猫たちに優しく接してくれたことを感謝しました。そして、くまおのような猫の命を救う活動への思いを、改めて胸に強く刻みました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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