ワイルドワンズ、タイガース、ブルコメ、カップス 1960年代グループサウンズは今も現役「THE G.S 栄光のグループサウンズ」

ベトナム戦争をきっかけにした反戦運動や学生運動が吹き荒れた1960年代後半に爆発的なブームを巻き起こしたグループサウンズ。ザ・ビートルズやローリング・ストーンズ、ザ・ベンチャーズなどイギリス、アメリカのロックバンドにインスパイアされた不良少年たちがエレキ楽器を手に取りジャズ喫茶…今でいうところのライブハウス等で演奏。ファンの少女たちが泣きながら嬌声をあげ、挙句には失神騒ぎまで起こすという、現代音楽シーンの夜明けのようなムーブメントだった。

あれから50年以上。グループサウンズと呼ばれたミュージシャン達は、一部鬼籍に入ったものの、今も変わらぬパッションを抱き全国でライブ活動を続けている。筆者は2024年8月に神戸国際会館(兵庫県)で開催された「THE G.S 栄光のグループサウンズ」というコンサートを観覧した。

2018年 5月中野サンプラザ(東京)から始まり、ザ・ワイルドワンズ、三原綱木さん(ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)、今井久さん(パープル・シャドウズ)、ミッキー吉野さん(ザ・ゴールデン・カップス)、加橋かつみさん(ザ・タイガース)といったグループサウンズのスターたちが全国ツアーを行っている。

当初、本番前に楽屋挨拶だけして帰るつもりだったのが、ひょんなことから客席から全編観させていただくことに。世代的にはずいぶん後輩だが、デビュー前後にザ・リンド&リンダースの加賀テツヤさんにお世話になったこともあり、グループサウンズには並々ならぬ思い入れのある筆者。しかも出演者は全員、過去にステージで共演したりインタビューのお仕事をさせていただいた面々だ。『青い瞳』(1966年 ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)、『青空のある限り』(1967年 ザ・ワイルド・ワンズ)、『長い髪の少女』(1968年 ザ・ゴールデン・カップス)…どれもリスナーとしても大好きな曲ばかり。久しぶりに生でライブを観ているとなにやら胸の底からこみ上げるものがあった。

「今日は新曲はありません」と観客の笑いを誘いながら、自分たちの持ち歌に限らず数々のグループサウンズヒットを披露し歓声を浴びるみなさん。加橋さんのザ・タイガースコーナーも『廃虚の鳩』、『花の首飾り』(いずれも1968年)と渋い選曲で心に染みる。全27曲、終始大きな盛り上がりに包まれたままライブは幕を閉じた。帰途ふと周りを見渡すと、大半が70代とおぼしき観客たちがみな頬を紅くして若やいでいるように見えた。

近年、歌謡番組などで若い演歌歌手がこぶしたっぷりにグループサウンズを歌うのを見てゲンナリすることがある。勘違いされやすいのだが、グループサウンズは単なる懐メロではない。冒頭で触れたように、グループサウンズはあくまでロック音楽。楽曲の大半は作詞作曲こそ職業作家によるものだが、本人たちの演奏は非常に躍動感にあふれ荒々しい。リズムと言い音作り、歌い方と言いロックなフィーリングに満ち満ちた音楽なのだ。わずか3年程度の短いブームで燃え尽きたグループサウンズだが、根底にそういったカウンターカルチャー(対抗文化)的なパッションがあったからこそ今も色あせない輝きを放ち続けるのだろう。世界各地で紛争や貧富の格差が広がり、なにやらきな臭い風が吹く現代。グループサウンズのみなさんにはぜひこれからも長く健康で、1960年代の熱い想いを現代に伝え続けて欲しいものだ。

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「THE G.S 栄光のグループサウンズ」公演

11月14日 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知県)

詳細はMIN-ONのホームページ

11月22日 の東京エレクトロンホール宮城 (宮城県)

詳細はコンサートパートナーズ・チケットパートナーズのホームページ

11月24日 高崎芸術劇場大劇場 (群馬県)

詳細は株式会社アイエスのホームページ

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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