独居の母に毎月15万円送金 老後を支える高額の仕送りは贈与とみなされる?【税理士が解説】

都内のメーカーに勤める40代のAさんは、地方の実家で独り暮らしをする母のため、毎月欠かさず15万円を振り込んでいます。実家は持ち家で家賃もかかりませんが、母は頻繁に友人と温泉旅行へ出かけたり、高価な着物を着て観劇を楽しんだりと、優雅な老後を謳歌していました。自身の小遣いを切り詰めて捻出したお金が母の笑顔に変わることに、Aさんは息子としての誇りを感じていたのです。

しかし、同僚からの何気ない忠告によってAさんは不安を抱えるようになります。それは「年間180万円にもなるその仕送りが、生活費の援助ではなく贈与とみなされ、追徴課税を課されるかもしれない」というものです。

計算してみれば、贈与税の基礎控除額である110万円を超える金額が、長年にわたり母の娯楽費として消えていました。Aさんの仕送りに贈与税は課せられるのでしょうか。正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞きました。

■旅行代や高級品の購入はNG

ー仕送りが非課税となる生活費とは、どのような範囲を指しますか?

国税庁の定義によると、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から受け取る生活費や教育費で、「通常の日常生活を営むのに必要な費用」に充てられるものは贈与税がかからないことになっています。

具体的には、食費、家賃、光熱水道費、日用品代、被服費、治療費、介護費用などがこれに該当します。あくまで「その都度」生活に必要な費用を賄うためのものである必要があります。

ー金額の目安はありますか?

「月額〇〇万円までなら非課税」という明確な金額の基準は法律上定められていません。非課税とされるのは、あくまで受け取る側(親)の資産状況や生活レベル、そして送る側(子)の資力など、社会通念上適当と認められる範囲内に限られます。

例えば、親に十分な年金収入や資産があるにもかかわらず、子がさらに高額な送金をしている場合は、生活費としての必要性が認められにくい可能性があります。

ー仕送りの使途が、旅行や趣味、娯楽費に使われていた場合はどうなりますか?

ここが非常に重要なポイントですが、旅行代、趣味の費用、宝石や高級車の購入などは「通常必要と認められる生活費」には含まれません。

したがって、Aさんのケースのように、仕送りのお金が生活費(食費や光熱費など)として消費されず、実質的に母親の遊興費として使われている場合、その金額は生活費の非課税規定から外れ、贈与税の課税対象となる可能性が非常に高いです。

ー仕送りのお金が使われずに、親の預貯金として貯まっていた場合、贈与税の対象になりますか?

はい、贈与税の対象になります。

「生活費」として送金されたものであっても、使い切れずに預貯金として蓄積されたり、株式や不動産の購入資金に充てられたりした場合、それは「生活のために費消された」とはみなされません。

名目が生活費であっても、結果として資産形成に回っている場合は贈与とみなされます。年間110万円の基礎控除額を超えて貯蓄されている場合、申告漏れを指摘されるリスクがありますので注意が必要です。

◆正木由紀(まさき・ゆき)/税理士 10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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