安全願い脱線現場たどる、兵庫 負傷者ら慰霊施設で献花
107人が死亡した尼崎JR脱線事故から25日で20年となるのを前に、負傷者らでつくる「空色の会」が13日、現場周辺を歩く「メモリアルウオーク」を開いた。参加した23人は事故のない安全な社会と風化防止を願い、線路沿いの約2キロをたどった。
出発地点は、脱線直前に事故車両が通過したJR塚口駅近くの公園。発起人の三井ハルコさん(69)は「20年たつと記憶が薄れる。当事者だけでなく一緒に事故のことを覚えてもらえれば」と呼びかけた。参加者は降りしきる雨を傘でよけながら歩き、現場の慰霊施設「祈りの杜」で白いカーネーションを手向けた。
三井さんの次女は2両目で重傷を負い、それからこの路線の上り電車に乗っていない。20年たっても乗れない被害者は他にもおり、三井さんは「自分のペースで現場を歩くことで、気持ちを再確認できる」と話す。
初めて歩いた大学1年の伊藤美柚さん(18)は、通学で使う路線で起きた事故を報道で知り参加したといい「将来はものづくりに携わりたい。事故から学び、安全に生かしたい」と話した。