阪神・原口がFA権行使 近年代打での出場も「スタメンで勝負したい」 球団は宣言残留を容認

 FA権行使を表明し、唇をかみしめて思いを語る原口(撮影・石井剣太郎)
 FA権行使を表明し、取材に応じる原口(撮影・石井剣太郎)
 FA権行使を表明し、取材に応じる原口(撮影・石井剣太郎)
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 阪神の原口文仁捕手(32)が12日、兵庫県西宮市内で取材に応じ、国内フリーエージェント(FA)権を行使すると表明した。「もっとゲームに出たい。スタメンから勝負したいという気持ちが強かった」と決断に至った理由を説明。球団は残留交渉を続ける方針だが、DH制のあるパ・リーグ球団を含め他球団が関心を示す可能性は十分にある。

 32歳が大きな決断を下した。原口がFA権の行使を表明。理由は簡潔にして明瞭だった。「もっとゲームに出たい、スタメンから勝負したいという気持ちが強かったのが一番」。出場機会を求める野球選手としての本能を、真っすぐな目で隠すことなく言葉にした。

 悩みに悩み抜いた。東京・帝京高から09年度ドラフト6位で入団。15年間をタテジマで過ごした。「球団関係者の皆さま、今まで携わっていただいた監督、コーチ、スタッフの皆さまに感謝の気持ちでいっぱい。皆さんへの気持ちは言い表せないくらいたくさんある」と球団への愛着を口にし、「まずは一人でしっかり考えてから家族には伝えた。自分を尊重してくれて、付いていくという言葉をかけてもらったのでありがたい」と家族への感謝も忘れなかった。

 そして「挑戦」の道を選んだ。近年は代打としての起用が多く、今季は52試合で65打席に立ち、打率・241、2本塁打、9打点だった。10月13日のDeNAとのCSで九回に上茶谷から本塁打を放つなど、長打力と勝負強い打撃は健在だったが、決して満足しているわけではなかった。

 「野球人として、まだまだやれるんじゃないかという可能性というのを自分の中で消せなかった。挑戦できる場所があるのならば、若い子に交じってでも勝負したいという気持ちがあった。レギュラーで出られるチャンスを競える、競争できるということが一番ではないかと思う」

 度重なるけがで育成枠も経験したが、16年に支配下再登録を勝ち取った。19年には大腸がんを患ったが、手術を受けて克服した。何度も苦難を乗り越えてきた不屈の精神は、現状に安穏とすることを許さなかった。

 14日にFA宣言選手として公示され、15日から他球団の交渉が解禁となる。今季は年俸3100万円(金額は推定)で金銭と人的補償が発生しないCランクとみられ“割安感”がある。DH制のあるパ・リーグ球団を中心にセ・リーグも含めた他球団が関心を示す可能性は十分にある。

 球団は宣言残留を容認しており、引き続き原口と残留交渉を続けていく方針だ。原口は「ありがたい部分もあります」と頭を下げつつ「自分の中ではまだ何も見えない」と今後への詳しい言及は避けた。虎党は原口の選択を見守っている。

 ◇原口 文仁(はらぐち・ふみひと)1992年3月3日生まれ、32歳。埼玉県出身。182センチ、95キロ。右投げ右打ち。捕手。帝京から09年度ドラフト6位で阪神入団。13年からの育成契約を経て16年に支配下復帰。18年の代打安打23本は球団タイ記録。19年1月に大腸がんを公表。手術後、リハビリなどを経て同6月4日のロッテ戦で1軍復帰。23年は主に代打でリーグ優勝、日本一に貢献。

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