手術からの復帰目指す阪神・下村 巻き返し誓った「正直辛かった。責任すごい感じている」 150万減1450万円で更改
右肘トミー・ジョン手術からの復帰を目指す阪神の下村海翔投手(22)が19日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、150万減の1450万円で更改した(金額は推定)。23年度のドラフト1位で入団し、即戦力として期待されたが、今季の1軍登板はなし。リハビリに専念した1年を過ごした。来季中の1軍登板を目標とし、2年目の巻き返しを誓う。
悔しさは来季のマウンドで晴らす。いきなり厳しいプロ野球人生のスタートとなった下村。復帰プランを思い描き、気持ちは来季に向けられていた。
「来年中にしっかり試合に投げて、目標は1軍で投げることなので。最後、日本一とかリーグ優勝のチームの戦力になれればと思っています」
青学大から23年度ドラフト1位で加入。春季キャンプは2軍の具志川で過ごし、大学4年時にフル回転した疲労を考慮して、慎重に調整を進めていた。ただ、状態は変わらず。4月に右肘内側側副靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)。ここから長いリハビリ生活が始まった。
プロとして試合で1球も投げることなく、踏み切った手術。「最初は『顔が暗かった』とたくさん言われていて。最近になってようやくボールも投げられるようになって、『笑顔が増えたね』と言われる。正直辛かった時期はあった。1位で入って、責任というのはすごい感じている。今は本当にいろんな人に支えられているので、恩返ししたい」と心境を明かし、強い責任感を示した。
苦しいリハビリ生活の背中を押したのは、トミー・ジョン手術から完全復活した頼もしい先輩らだった。球団では今季13勝の才木が20年11月に受け、退院から約1年3カ月で実戦復帰している。他にも鳴尾浜では同手術を受けた島本や高橋からもアドバイスをもらい、励まされた。
「才木さんとかいつも会うたびに『絶対大丈夫になるから』とそういう言葉をかけてくれるだけでも、すごく支えになった。そういうところが大きかった。才木さんとか同じ手術をされた方々に追いつけるように自分も頑張っていきたい」
8月に屋外でのキャッチボールを再開。この日の契約更改交渉前も鳴尾浜で約40メートルの距離でキャッチボールを行うなど、順調な回復を見せている。他の選手の復帰時期を踏まえると、来季終盤には実戦登板もできそうだ。「復帰された先輩だったりトレーナーさんは毎日見てくれているので。そのおかげで自分も『よし、やってやろう』というか、そういう気持ちになってます」と下村。甲子園の大歓声を受けて立つマウンドに一歩ずつ近づいていく。