「前ばっかり向いて努力」元高知商監督の恩師が阪神・藤川監督の目標へ突き進む性格に太鼓判 帽子に書かれた言葉も明かす

 V奪還を目指す阪神・藤川球児新監督(44)への期待を示す企画「球児虎にエール」。今回は元高知商監督で日本高野連の技術・振興委員長を務める正木陽氏(63)が教え子の藤川監督にエールを送った。

  ◇  ◇

 「本当にどこまでも応援します。高校3年間を一緒にやってきてうれしいというよりも誇らしいですね」

 入学時の藤川監督は体の線も細く、最速も125キロ程度。それでも「ボールの回転もいいし、柔らかく投げるけどボールが垂れなかった」と、後に火の玉ストレートと称された直球の素質を恩師は感じていた。自宅から高校まで通える距離ではあったが、寮生活を促して食生活などから指導。「好きなことも苦手なこともコツコツやらなあかんということを身につけてもらいたかった」と、高校3年間を共に歩み、阪神ドラフト1位でプロの世界へと送り出した。

 藤川監督は高知商2年の夏に甲子園出場を果たし、日本代表入りも経験。高校球児として華々しいキャリアを送っていたものの、弱気になる一面もあったという。正木氏と同い年で炎のストッパーとして名をはせた元広島・津田恒実氏に憧れた右腕。帽子のつばの裏には「弱気は最大の敵」としたためていた。正木氏は「津田の言葉やないかと言ったのを覚えています。気合で立ち向かっていくことを自分とダブらせていたんじゃないですかね」と懐古した。

 プロ入り後も長く2軍生活を送り、1軍定着後も故障など苦難を多く味わった藤川監督。その壁を乗り越えていく姿を正木氏は見守ってきた。「注目を浴びるたびにたくましくなる。ウイークポイントを上回る武器を持つことで今の藤川にたどり着いた。立場、環境が人をつくりますね」。剛球で名を上げ、引退後も鋭い洞察力で評論家として野球に関わってきた藤川監督。強みを育み、弱肉強食の世界で生き残るすべを身につけてきた。

 「考えてやったことはうまくいかなくても後悔しない。前ばっかり向いて努力するんですよ」と正木氏。藤川監督の目標に向かって突き進む性格に太鼓判を押し、「良いことも悪いことも経験したうえで監督を引き受けたはず。選手のために優勝するためにやるだけと思っているはず」と背中を押した。

 8日は秋季キャンプを視察し、遠めから藤川監督の姿を目に焼き付けた。「プロ野球の監督は決断するのが仕事だと思う。いいと思ったことを選手に返していけばいい」。真っすぐな生きざまを貫く教え子の新たな舞台での活躍を願った。

 ◇正木 陽(まさき・あきら)1960年11月26日生まれ、63歳。高知市出身。外野手。高知商3年時に夏の甲子園準優勝を経験し、同大に進学。卒業した1983年から母校の教員となった。同校野球部監督としては93年秋~2000年夏、10年春~15年夏に指揮を執り、春1度、夏2度甲子園出場。23年から日本高野連理事、技術・振興委員長を務めている。

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