阪神・青柳 メジャー挑戦への思い「自分の知らない野球に触れてみたい」明かしたきっかけ
阪神・青柳晃洋投手(30)がデイリースポーツ読者に向けて、さまざまなテーマをもとに本心を明かす「青柳SOUL」。第10回は今オフにポスティングシステムを利用して、米大リーグ挑戦を決断した経緯について激白する。東京五輪で世界を感じたことで生まれたという、「自分の知らない野球」への興味に背中を押されて、大きな一歩を踏み出した。
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読者の皆さま、青柳晃洋です。ポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦すると決めるまで、悩みはめちゃくちゃありましたけど、決めてからは悩むことなく、向こうに行くことをずっと考えてやってます。今後は契約という話になってくると思いますが、そこに関しては僕は全然分からなくて。ポスティングの申請すらまだしてないので、状況に関してはお話しできることはないんですけど、気持ちの面では行くと決めてるので。挑戦は楽しみではありますね。
キャリアの中で一番活躍しなかった年に、ポスティングを申請するのはもちろん勇気の要ることだと思います。もう1年待てばFA権取得もあったわけで。どのタイミングでも、球団がOKを出してくれたのはありがたく思ってますし、僕の中では早い遅いはないですね。何歳で行くとか関係ないですし。タイガースで投手コーチをされていた高橋建さん(現広島コーチ)が40歳でマイナーからメジャーに上がることができたのも見てますし。
東京五輪が開催された21年、最多勝と最高勝率を獲らせてもらって防御率もリーグ2位で。自分の中でちょっと自信がある中、初めて代表に選んでいただきました。もちろん緊張もありましたが、バリバリのメジャーリーガーがほぼ来てない状態で、いっぱい打たれて、点を取られて。メジャーリーガーじゃない人にも通用しなかったということで、メジャーに興味を持つようになりました。国際大会でやり返したい気持ちもありますが、自分がまだ元気なうちに世界トップのリーグに挑戦したいと思いました。
同じスポーツでも文化が違えば野球も違ってくる。文化が違う野球に対して、これだけ自分が活躍できないんだということを感じて。自分の知らない野球があるなら、触れてみたい。向こうに行くのを決めたのは、それが一番の理由だと思います。日本の野球しか知らないので、MLBがどんな野球を、どんなレベルでやってるのか。こっちから見てると、MLBはホームランか三振か、みたいなところがピックアップされることが多いですけど、実際どうなんだろうと。自分で経験しないとしゃべることはできないので、決断した感じです。
僕は向こうの野球にまだ触れてないので、自分のスタイルが通用するのかどうか分からない。変えなきゃ活躍できないなら、変えなきゃいけないですし。日本でこれだけやってきた自信があったとしても、向こうの野球にフィットしなければ、ただの使えないピッチャーになってしまうので。向こうで試行錯誤しながら、また一から野球を考えながらできるのが楽しみですね。
基本的にこの時期は例年、ボールを全く触らないんですけど、今はボール(メジャー公式球)に慣れることが一番だと思うので。キャッチボールを続けたり、ボールを使うことはなるべくやってます。それ以外のトレーニングは変わらないですね。ウエート中心で。どこに行くかは関係なく、自分の野球をやるためなので。自分のためのオフの過ごし方というのは去年までと同じです。
ここまで成長させてもらえたのはタイガースのおかげです。1、2年目に金本さんに1軍で使ってもらったというのが大きかった。全然プロレベルじゃない自分を1軍で投げさせてくれたのは、本当に感謝しています。あの時期に1軍のレベルを知ることができましたし。何万人もの前で、甲子園で投げさせてもらったというあの1、2年目の経験があったからこそ、4年目からの飛躍につながったと思うので。
タイガースファンには厳しいこともいっぱい言われましたけど、その何十倍も熱い声援をもらえました。去年は成績が良くない中で、日本シリーズ第7戦で投げたときの歓声は忘れられません。勝ったら何十倍も喜んでくれて、負けても次頑張ろうと言ってくれる。甲子園の雰囲気はあのタイガースファンがいるから成り立つものだと思ってます。僕は来年どうなるか分かりませんが、僕の応援もそうですけど、熱いタイガースファンの方々にはタイガースをずっと好きであり続けてほしいと思います。