阪神・及川 陸上トレでレベルアップ 体重増で「体を扱えていない」走り幅跳び・荒川大輔氏が指導

 陸上トレを取り入れ、来季に備える及川(撮影・山口登)
 荒川氏(手前)からアドバイスを受けアップする及川(撮影・山口登)
 及川(左)は荒川氏からアドバイスを受ける(撮影・山口登)
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 阪神の及川雅貴投手(23)が走り幅跳びで世界陸上への出場経験がある荒川大輔氏(43)の指導を受けて自主トレを行っていることが10日、わかった。この日、大阪市内のセレッソフットサルパークで自主トレを実施。体の効率的な使い方を知ることで野球に生かす考えだ。左腕は先発を熱望しており、陸上トレを足掛かりに開幕ローテーション入りを狙う。

 新たな発見の連続に探究心は尽きなかった。及川は12月から荒川氏に弟子入り。1回2時間のレッスンは収穫たっぷりですぐに時間が過ぎていく。重心の位置から足の上げ方、走るフォーム…。「野球に生かせることばかりですよね」。知識の上積みが楽しかった。

 練習は重心位置の矯正から始まった。荒川氏が立ち姿を見て、足首を触る。正しい立ち方は薬指に体重を乗せるイメージだが、及川は右足が少しかかと体重になっていた。そこを調整すると、意外な場所にも効果が表れた。左の巻き肩が修正されたのだ。「立っててわかるんですよ」。きれいに立つことで、自然と体のゆがみも直っていた。

 アップも細かい。ふくらはぎなどを伸ばす時に、つま先の角度を変えるだけでも刺激される場所が変わる。強い負荷のトレーニングはないが、筋肉痛にもなった。「野球は大きい筋肉を鍛えがち。陸上は繊細な動きになってくる」。それだけ使えていない筋肉があるということ。正しく体を使うことで投球の安定性や力の伝え方にもつながっていく。

 今回、陸上に目をつけたのは体の見直しと走力アップが狙いだった。プロ入り当時は、身体能力の高さは同期でもピカイチ。しかし、この5年で体重が12~13キロも増えたことで「その体を今年は扱えていないと感じた」。だからこそ、スポーツの基礎である「走る」にスポットを当てた。

 藤川新監督から指摘された「横の動きが強い」ことも修正のヒントを得た。縦振りに変えようと意識するのではない。右肩を下げれば自然と左肩が上がって、縦振りになった。「例えば、足を上げる方の意識じゃなくて、逆の足の骨盤を落としてあげる。そういう教えだったんですよ。意識の持っていき方が野球につながると思います」。すでにキャッチボールで球筋の変化を実感。脳の伝達と体のリリースポイントが一致しているという。

 全ては来季のため。及川は先発起用を熱望している。「長いイニングを投げるため、1週間で体調を整える」には正しい体の使い方が負担軽減につながる。「目標は開幕ローテに入って、1年間投げ切ること」。野球と陸上の融合。異例の挑戦を覚醒の足掛かりとする。

 ◆荒川大輔(あらかわ・だいすけ)1981年9月19日生まれ。走り幅跳びの元選手。02年の静岡国際では8メートル06の記録で日本人9人目の8メートルジャンパーとなった。07、09、12年に日本選手権優勝。07、09年には世界陸上にも出場している。現在は合同会社「Antonio」の代表で、朝原宣治氏主宰の陸上クラブでも子どもたちの指導を行っている。

 ◆主な陸上競技トレ 阪神では佐藤蓮が陸上やり投げの元日本代表で2009年世界選手権銅メダリストの村上幸史氏から指導。大竹は男子マラソン・大迫傑らをサポートしてきたトレーナーから正しい走り方を学んだことも。他球団では、レッドソックスの吉田正尚がオリックス時代からアテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリスト・室伏広治氏に弟子入り。紙風船を使ったトレーニングを実施した。

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