阪神・近本V弾!延長十一回2号2ラン「神宮なので頼む!!と」 木浪の失策救った バックスクリーン3連発の日に
「ヤクルト5-7阪神」(17日、神宮球場)
虎のリードオフマンが一振りで決めた。阪神は5-5の延長十一回、近本光司外野手(30)が右翼席へ決勝の2号2ランを放った。2点リードの九回に木浪聖也内野手(30)の適時失策などで追い付かれたが、重苦しい空気を振り払った。伝説の「バックスクリーン3連発」から40年を迎えた日に、劇的な一発で勝利。2連勝で3カードぶりの勝ち越しを決め、今季最多タイの貯金2とした。
4時間7分の激戦にケリをつける白球が、高々と神宮の夜空に放物線を描く。ホーム側から吹く追い風にも乗った。スタンドインを確信しながら、近本は「神宮なので頼む」-と願ったと笑った。悲鳴と歓声が交差するグラウンドを一周。チームを、木浪を救う会心の2号決勝アーチ。4安打で開幕戦以来の猛打賞だ。
「元々、追いかけて追い付いた試合。何とか最終的に勝てたので良かった。自分のやることは変わらないです。ただ、最終的にカバーできたのなら良かったと思います」
延長十一回、1死一塁で迎えた第6打席。バウマンに対し「初球ストライクから仕掛けようと思った」と2ボールから3球目、3球続けた直球を狙った。真ん中高めの152キロをフルスイングで仕留めた。勝利目前の九回に遊撃・木浪の失策で追い付かれた一戦。同期入団で同学年の2人には絆がある。沈む盟友の思いもバットに乗せた。
試合前の時点で打率・241。少し苦しんでいるようにも見えるが心はブレない。「いいスタートを切ろうとは思っていない。僕としては、みんなが打っているんだったら、打たなくてもいいって思える」とした上で、独自の考えを明かした。
「4月は前半戦の方向性を決めるための1カ月。いろんな発見があるんです。シーズン本番の中でしかフィードバックが取れないことが多い」
自主トレからキャンプまでやってきたことが正しかったのか。答え合わせの日々が「間違いだったと気付いてもいい勉強になる。それが成長にもなるんですよ」と喜びに変わる。ただ、一つ…「僕の中だけで気にしていた」と、正直に明かしたのが得点圏で迎える打席。開幕から16打席無安打(2四球含む)だった。だからこそ序盤の1本が流れを生んだ。
二回、先制された直後の攻撃。直前には無死二、三塁から木浪のライナーが三塁手の正面を突き、三走・前川が戻りきれず併殺に倒れていた。それでもビーズリーが右前打でつなぎ一、三塁。2-2からファウルで3球粘り8球目、内角高めの直球を右前に運んだ。「いい流れでいけた」と五、七回には左前打を放つなど4安打で打率も一気に・286まで上げた。
一丸野球で激戦を制し、藤川監督も「みんなの頑張りが報われた」と殊勲の一打に感謝した。チームは首位・広島に0・5差に迫る2位。最高のムードで甲子園に戻り首位攻防戦を迎える。「ビジターだけじゃなく甲子園でも勝てるように頑張ります」と近本。スタンドが黄色く揺れる。チームの窮地で輝く男は、勝利のためにバットを振る。
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