阪神・岩田稔が引退…持病抱えながら熱く戦い続けた虎一筋16年
阪神・岩田稔が引退しました。05年ドラフト希望枠で入団。1型糖尿病を抱えながら猛虎に欠かせぬ戦力として活躍、また慈善活動も積極的に行ってきました。熱き男の16年をデイリースポーツ紙面で振り返ります。
公開日:2021.10.5
この年は10勝10敗の成績を残した岩田は1軍に欠かせぬ戦力に。一方で病気を抱える者として、グラウンド外でも活動していきます。
同じ病気持つ人の「少しでも励みに」
【2008年11月29日デイリースポーツ紙面より】
◆岩田、糖尿病と闘う人々へ勇気のDVDメッセージ…医療用非売品に出演
同じ病気で悩む子供たちへ―。阪神・岩田稔投手(25)が出演する、1型糖尿病を患う人々を激励するDVDが完成したことが、28日までに明らかになった。
(中略)
「DVDのお話をもらったときは、喜んで、という思いで参加させてもらいました。同じ病気の人の少しでも励みになってもらえると、僕もうれしいです」
病気を背負っていても、適切な処置をすれば普通の人以上に動くことができる。前向きに生きていこうという思いをDVDの中に込めた。今季は初の2けた10勝を挙げ一流への第一歩を踏み出した。一時はDVDが見送られる可能性もあったが、しっかりした結果を出したからこそ説得力のある内容となったに違いない。
【2008年12月24日デイリースポーツ紙面より】
◆岩田「1型糖尿病患者」救う 根治へ研究、開発費用寄付検討
阪神の岩田稔投手(25)が23日、1型糖尿病の根治に向けた研究、開発費用の寄付金を検討していることを明かした。具体的なプランは未定だが、同じ病気で苦しむ人の助けとなりたい考えだ。
(中略)
高校卒業時に病気が原因で、内定先の企業に断られたことを明かした岩田は「協力できるのなら、したいと思います」と寄付に前向き。球界ではほかにソフトバンクの和田が、途上国の子供たちへ、投球数×10本の感染症予防ワクチンを寄付していることが有名で、岩田も活躍に応じての寄付プランが検討される。
【2009年12月14日デイリースポーツ紙面より】
◆岩田、病室に勇気届ける「テレビに映って頑張ってるところ見せたい」
阪神・岩田稔投手(26)は13日、高槻市の大阪医大付属病院を訪問。1型糖尿病を患う子供たちを慰問し、ゲームなどイベントにも参加して激励した。
(中略)
恒例となりつつある慰問。激励に訪れたつもりが、いつの間にか自分が勇気をもらった気になるという。
「子供たちの笑顔を見られて良かった。手の込んだものを頂いてうれしかった。これは僕にしかできないこと。野球選手でいる限り続けたい」
肩痛で出遅れた今季について「情けないシーズン」と言い切る。来季の目標に「最初からローテを守って15勝、200イニング」を掲げた。開幕投手について振られると「考えたこともない」と興味を示さなかった。
目指すところは「病室から出られない子供もいる。頑張ってテレビに映って頑張るところを見せたい」。自分自身の投球で勇気づけたい。もちろんその中には最も注目を集める巨人戦も含まれる。
【2011年5月3日デイリースポーツ紙面より】
◆岩田 復活星で励ます!1型糖尿病と闘う子ども支援プロジェクト
阪神・岩田稔投手(27)が2日、自身と同じ1型糖尿病と闘う子どもたちを支援するプロジェクト「IWATA PROJECT 21」を立ち上げた。チアブレス(ラバーバンド)を全国の同病患者や家族、医療従事者に配布。先発予定の5日・巨人戦(東京ドーム)では右手首につけて登板し、2009年10月9日のヤクルト戦(神宮)以来の復活星を目指す。
(中略)
左肘を手術した昨季は未勝利。今季は悪い内容ではないにもかかわらず、開幕から3戦3敗と結果を出せずにいる。先発が有力な5日の巨人戦は、今度こそ完全復活を知らしめる機会だ。
この日、チームと東京に移動した岩田は「東京自体が久しぶりですからね。頑張ります」と、短い言葉に決意を込めた。1型糖尿病の子どもたちに勇気を与えるためにも、復活星を目指す。