外国人歴22年?の阪神ファンが考察 助っ人成功のカギは「なんでやねん!」を受け入れる

 プロ野球が待ちに待ったキャンプインを迎えた。だけど、コロナ禍で阪神を含む多くの球団の新助っ人が来日できなかった。楽しみだっただけに残念でならない。例年、キャンプイン直後の新外国人選手は、環境、言葉、食事etcに慣れるのに必死だけど、今年は来日すらできていない。日本野球になじむのは、いつも以上に大変だろう。

 日本のキャンプを初体験する外国人選手は、その大多数が練習メニューや量に戸惑い「なんでやねん!」と思っているでしょう。関西弁が少しでも話せたら、きっとそうつぶやくと思う。僕はプロ野球選手の経験こそないけれど“外国人の経験”なら22年もあって、ベテランと言っていい。そんな僕ですら、今も「なんでやねん!」とつぶやくことがある。

 つい最近だと車検証の住所変更で、その手続きの多さに驚いた。まず警察署に行って車庫証明書を申請する。これに5日間かかった。再び警察署を訪れ、書類を受け取ってから市役所へ。住民票をもらって、陸運局で住所変更の申請をする。日によって待つ時間が長かったりするから、その時間を辛抱して、さらに納税申告のところでもう一度列に並んで、書類をチェックして…ようやく完了。住所変更だけで4時間以上かかるというのは、僕には理解できない!

 外国人選手が理解できない「長い練習」と僕が理解できなかった「長い手続き」。だけど一方的に「悪」と捉えるのは危険だ。どちらも外国人の目から見ると時間の無駄だけど、逆に日本流の「丁寧さ」が表れているとも言える。短所に思えたものが、少し見方を変えれば尊重できるシステムに変化するのだから面白い。

 多くの外国人が日本プロ野球の試合を見ると「基礎はよくできている。ミスが少ないし、きちんと練習をしているのは見てすぐわかる。素晴らしい!」と感動する。日本野球の魅力は勤勉な練習の賜物なのだろう。外国人には「やりすぎ」に感じられるキャンプの練習スタイルだけど、長いシーズンで成果を生み出し、結局は理に叶ったものになるかもしれない。

 車検証の住所変更も同じなのだろうか?海外と比べれば、日本での車のトラブルや路上盗難などは確かにかなり少なく感じる。面倒な手続きで車両登録や住所変更をきっちりとしている成果かもしれない。

 僕が「外国人」として日本に住む以上、これからも「なんでやねん!」と呟きたい時はあるだろう。だけどこれからも、日本のやり方を尊重していくつもりだ。新しい外国人選手も同様に、日本の野球のやり方を理解できなくても「尊重」するべきだろう。“ベテラン外国人”として言えることは、それが成功へのカギのひとつ…であろうということだ。

 ◆トレバー・レイチュラ 1975年6月生まれ。カナダ・マニトバ州出身。関西の大学で英語講師を務める。1998年に初来日、沖縄に11年在住、北海道に1年在住した。兵庫には2011年から在住。阪神ファンが高じて、英語サイト「Hanshin Tigers English News」で阪神情報を配信中。

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